3月26日に江東区の深川江戸資料館で、第18回高校生プレゼンフェスタ「江戸・東京のくらし再発見」があった。今回も8校から集まった30人の高校生が、6チームに分かれて半即興型のプレゼン作りに挑戦した。

深川江戸資料館は年間10万人(うち海外の旅行者1万人)の来場者がある下町巡りの人気スポットである。

この施設との連携は3回目になる。さすがにここまで経験を重ねると、フェスタを運営する獲得研と資料館の間の意思疎通もきわめてスムーズである。

もともと高校生の来場者比率が低いこともあり、その分生徒たちの熱心な反応が、案内してくださるガイドの方たちにも新鮮に映るのだという。

獲得研の側から見ると、博学連携のこのプログラムは、インターハイスクールの交流活動という側面とプログラムを運営する教員自身の研修プログラムの側面という2つの要素を含んでいる。

教員研修の視点からみると、今回も「拍手回し」を創造的に応用した宮崎充治氏(弘前大学)のウォーミングアップ、参加者を巻き込んでプログラムを解説する藤牧朗氏(目黒学院)のガイダンスに、新工夫が施されていた。

教員デモンストレーションは、落語「長屋の花見」をアレンジしたニュースショー形式の発表である。両角桂子氏(所沢北高校)の脚本に、卵1個が現在の価格で400円相当だったという情報などが盛り込まれていて、なるほどと感じ入った。

参加生徒の特徴ということでいえば、もっとも緊張する集合のときから、もう和やかで柔らかい雰囲気を醸しだしていたことがある。

また発表形式の特徴としては、クイズの要素を入れて観客を巻き込む工夫がとくに目立った。似通った形式が多い分、それぞれのチームが発表空間をどうデザインするのか、そのバリエーションが際立ってきて、それも面白かった。

資料館側の全面協力もあって、ハンズオン資料が、発表本番で例年になくたくさん使われたのも今回のフェスタの特徴である。

これまでプレゼン・フェスタの運営にかかわる様々な知見を蓄積してきたが、今回は、例えばイギリスであかり座公演をやるときにこれまでの経験をどう活かせるのか、そんなことに考えながら見ていた。
つまりは日本で開発したプロジェクト学習の方法を海外で実践してみるということなのだが、その実現は、プレゼン・フェスタのもつ可能性に今までとは違った角度から照明をあてることにつながるのではないか、そんな風に感じたことだった。