月別アーカイブ: 1月 2019

ドラマ教育とシティズンシップ教育

少し前のことになるが、日英共同研究の一区切りになるセッションがあった。12月6日に東京・田町で行われた「ドラマ教育とシティズンシップ教育のコラボ」(於:キャンパスイノベーションセンター東京 広島大学オフィス)と題する公開研究会である。

イギリス側から、ヨーク大学のI.デービス先生(シティズンシップ教育:写真右側)とN. マッギン先生(ドラマ教育:写真左側)、日本側から池野範男先生(CE)と渡部(DE)が交互に課題意識を報告しあう会だ。


滅法チャレンジングなテーマである上に、山地弘起先生(大学入試センター)など、海外の研究事情を知る人たちもたくさん参加しておられたから、率直な質問が次々にでて、とても刺激的なセッションになった。

これまで、メンバー同士がイギリスと日本を交互に訪問して、学校見学やセミナーをしてきた。4年越しで続けてきた共同研究の成果をそろそろまとめよう、という共通認識が確認されたのが今回の集まりだった。

デービス先生と池野先生の研究交流が起点となってはじまったプロジェクトだが、日英で2冊本がでるとなると、私にとってもこれまでにない経験である。

さてどんな展開になるのか、これからが大いに楽しみになっている。

13回目の新春合宿

今年も成功裏に新春合宿を終えることができた。プログラムは、初日が2本の研究報告―小宅さん・日大一高、宮崎さん・弘前大学―と「獲得研のこれまでとこれから」をテーマにしたディスカッション、そして2日目が恒例の「オトナのプレゼンフェスタ」である。

今回のフェスタは「葛飾北斎の人間と芸術に迫る」というテーマで、早川さんを中心に「すみだ北斎美術館」とのコラボ企画になった。

すみだ北斎美術館は、2016年に開館したばかりとあって、最新のテクノロジーを駆使した展示が特徴であることはもちろん、教育プログラムに力をいれている美術館でもある。

施設見学のあと、東京スポーツ文化館にもどって、発表が行われた。(下の写真:美術館への移動中 院生の蔡くん撮影)

第1グループは、北斎漫画の成り立ちを素材として、北斎の教育者としての側面に光をあてた作品。

第2グループは、90歳まで画業を追求し続けた画狂人・北斎が、人生の節目節目にどう行動したかに注目した作品。

第3グループは、屈原をテーマとする作品の成立過程を手掛かりに、北斎の国際性を描いた作品。

第4グループは、「神奈川沖浪裏図」そのものを擬人化し、絵の側から世界をみると・・・という作品。

できあがったプレゼンは、どれも見応えのあるもので、合宿コーディネーターの初海さんから「これほど粒揃いの作品が並んだのは初めてではないか」という感想がでた。

すみだ北斎美術館館長の橋本先生と学芸員の古藤さんの含蓄に富むコメントからも大いに啓発されて、なるほど博学連携とはこういうことか、と改めて実感できた。

お二人に「年明け早々から合宿とは」と驚かれたが、そう言われてみると、正月合宿が13年間も続いていること自体たしかに驚異的だなあ、と思えてくる。

私にとっては、獲得研の新しい側面が毎年どんどん開発され続けていることの方が、さらに面白いことではあるのだが。