月別アーカイブ: 10月 2018

新宿御苑の空

新宿経由で通勤しているので、いこうと思えば簡単にいけるのだが、あまり訪ねる機会がないのが新宿御苑だ。

先日、思い立って新宿御苑に足を踏み入れてみた。大木戸門から入場して、風景式庭園、整形式庭園、日本庭園を順番に回り、新宿門からでるコースである。

久しぶりの訪問でまず驚いたのは、以前とくらべて、外国人観光客の姿が圧倒的に多いことだ。平日の午後ということもあるだろうが、ひょっとしたら来場者の数は日本人を上回っているかもしれない。

最近はどこの庭を訪ねても、植栽の手入れのことが気になる。

大木戸門の近くにある下の写真の伽羅木は、一見すると複数の株からできているようにみえる。

しかし、裏側に回ってみると一つの株から分かれてできた姿だとわかる。

ちょうど秋田の庭の古いキャラボクの仕立て方に迷っていたこともあって、ああこういうやり方もあるのか、と参考になった。

一方、整形式庭園の方にいってみると、ちょうど大刈込の整枝作業の最中だった。


作業の進み具合を見ていると、時間がたってもちっとも飽きるということがない。この大量の枝をどこでどう処理するのだろう、ということまで考えてしまうからだ。

(下の写真は、旧御涼亭からの眺め)


今回は、上の池から東の方向をみた景色がとりわけ印象に残った。(下の写真)

背景に建物の姿がなく、何しろ空が大きいのだ。もし都心に新宿御苑がなかったらと考えると、この空間の貴重さがいまさらながらに感じられる。


秋田の屋敷の管理

9月中旬の4日間、秋田に帰省した。秋田から戻るのと同時にPCがダウン、復旧するまでのほぼ1か月間、まるで仕事ができなくなって難渋した。

(上の写真。この景色で「秋田に戻った」という気分になる。)

帰省にあわせて、和室の一つをフローリング化する工事をしてもらった。ちょっとした思いつきで始めたプランだが、これが思いがけない効果を発揮し、古い家がそれなりにモダンな雰囲気になるので面白い。

あわせて立木の伐採計画を前に進めることにした。前回の調査で、屋敷内に都合200本の高木があることが分かっている。

これを徐々に間引いていくのだが、まずはこの秋、外周道路に面した15~20本ばかりの高木を選んで伐採してもらうことにした。クレーン車を使って3日がかりの作業になるらしい。

(上の写真は、伐採予定の木に目印をつけているところ)

さあ、どのくらい景色が変わるものなのか、こちらも楽しみである。

長(武田)清子先生を偲ぶ会

恩師の長清子先生が、4月10日に100歳で亡くなられ、9月8日にICU食堂で「偲ぶ会」があった。思想史研究会がしばらく休会している間のことだったから、いまひとつ実感がもてずにいたのだが、この会に参加して、しみじみ「ああ、亡くなられたんだなあ」という感懐にとらわれた。

とりわけ12年間にわたって長先生の助手をつとめあげ、思想史研究会でもオピニオンリーダー的な存在の小沢浩さん(4期生、元富山大学長)のスピーチは、長先生の厳しく、温かくかつリベラルな人柄を活写すると同時に、先生の戦中戦後から現在に至る学問研究の歩みを歴史的に位置づけようとする試みで、なんとも見事なものだった。

偲ぶ会は、桑ケ谷森男さん(1期生、元ICU高校長)たち、最初期の卒業生が運営の中心を担ったもので、200人を超す参会者があった。
80代になった先輩たちのすこぶる元気な様子にふれていると、これもまたいかにもICUらしい雰囲気だなあ、と感じたことだった。同じテーブルにいた梅津順一さん(14期生、前青山学院院長)や保立道久さん(15期生、東京大学名誉教授)が若い層に見えてくるから不思議である。

長先生は、18期生の私がかれこれ45年師事した先生である。

(下の写真。学部の卒業式で)

とりわけ最晩年の10年ほど、思想史研究会で指導を受けた経験がいよいよ貴重なものに感じられる。90代にしてなお学問研究の炎を燃やし続ける方のそばにいられたからだ。

小沢さんのスピーチにもあったが、せめても長先生に満足してもらえるような仕事を一つは残さないとなあ、と考えたことだった。