3度目の津山

岡山県内の商業高校の研修会「平成30年度 マーケティング分野生徒対象研修会」(委員長:歳森隆夫・笠岡商業校長)が、8月2日、3日に津山商業高校であった。たった半日で「取材―プラン作り―発表」というプロジェクト学習の全プロセスを生徒が体験する、文字通り“半即興型プレゼンづくり”のプログラムである。

今回も、現地ではじめて出会った生徒たちが、その場でチームを組んで伝統的建造物群保存地区に指定されている城下町を取材して歩き、インタビューなどの結果を素材にして観光ビジネスプランづくりに挑戦した。

(下の写真。今年の滞在も「割烹 宇ら島」。津山商業・片岡先生ご推薦の宿ということで初年度からお世話になっている。地元食材を活かした美味しい料理と若女将・中村未和さんの細やかな気配りが光る。)

豪雨災害を経験した後で、しかも鉄道の不通箇所がまだ残っている状態での開催である。もともとの参加校が多くなかったうえに、直前のキャンセルも続いたらしい。そんなこんなで、例年より参加者が少ない分、より実験的な色合いの濃いプログラムになった。

その1つは、2日間を通して、各校混成チームで活動したことだ。初日の発表をさらにブラッシュアップし、2日目により完成度の高い発表を目指す2段階の方式である。

例年は、初日に混成チームで活動し、2日目は各学校が自分の地域の観光プランを発表していた。秋のコンテストに向けた準備が、もうこの研修会から始まっていたことになる。

2つ目が、生徒チームの活動と並行して、引率教師チームもプレゼンづくりに挑戦したことだ。先生たちの発表は、さすがに手慣れていて安定感が抜群だったから、その自然な語り口が生徒チームのよいお手本になった。

ただ、意外な弱点も露呈した。手慣れている分、ついつい説明が長くなってしまい、発表時間の大幅超過につながったのだ。

3つ目が、昨年までこの研修会の委員長だった槇野滋子先生(岡山大学教授)が、今回は、私とのコンビでファシリテーター役をしてくださったことだ。どちらかというと見守る側だった槇野先生が、直接進行に加わることで、新しく見えてきたこともたくさんあったらしい。

私の場合も、毎回新しい気づきがあるが、今回とくに印象深かったのは、複数年にまたがって運営に携わってくれた先生たちの口から、この研修会での経験を学校に持ち帰って、自分独自の実践につなげてみたい、という意欲が語られたことに関連している。

半即興プレゼンをつくるというプロジェクト学習の研修は、生徒だけでなく、先生たちにとっても新しいタイプの研修である。

それだけに、単発の企画として実施するだけでなく、同じコンセプトの研修会を継続実施することで、企画・引率する教師の側にもこうした学習の意義と指導方法がより深いレベルで伝わる可能性がある、そのことを実感したのである。

研修会を終えたら、津山駅でJRの列車に乗りこみ鳥取空港経由で帰京する、そんな予定にしていたのだが、当日になっても津山―智頭間の路線は復旧せず、申し訳ないことに、智頭まで自動車で送ってもらう仕儀になった。

おかげで、思いがけずゆったりした山越えドライブを楽しむことができたのだが。

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