早いもので獲得研の正月合宿も11回を数える。今回から新しいプログラムが2つ加わった。
1つは、3月28日(火)に予定されている「高校生プレゼンフェスタ」の予行演習だ。本番は「江東区深川江戸資料館」(江東区文化コミュニティ財団)の展示資料を使い、その場で“(仮)海外に伝えたい江戸のクール”を共通テーマにした演劇的プレゼンをつくる。今回は、そのシミュレーションをやってみようというのだ。
天保年間の深川佐賀町の街並みを再現した展示会場をタップリ案内してもらったあと、合宿所に戻って5分間の発表をつくった。
いまどきの高校生の生活と江戸庶民の暮らしではちょっと距離がありすぎやしないか、まして発表を創るとなると難しいのではないか、という危惧もでた。ただ、やってみると色んなアプローチができる。
それで、大家さんが朝木戸を開けてから夜閉めるまで、長屋の人々の助け合いの暮らしぶりを描いた『初午の前』、タイムスリップした日英の若い女の子2人が、チョキ船の船頭や長唄の師匠から、自然と親しむ暮らしが現代につながっていることを学ぶ『今に生きる江戸の暮らし』、時代を隔てた2組の男女の生態を交互に演じて、果たしてどちらの暮らしがより豊かなのかと観客になげかける『シングルライフ ~今と昔~』という3本の発表ができた。
これらの発表を、本番で展示解説をしてくださる深川江戸資料館の小張洋子さんにも楽しんでいただいた。高校生プレゼンフェスタの本番まではあと2か月、企画のイメージを資料館の方々とすり合わせる作業が、これからしばらく続くことになる。
もう1つの新企画がオトナの「聞き書き甲子園」である。こちらは髙﨑彰、初海茂、三宅典子の各会員にそれぞれのライフコースを語ってもらい、その語りをもとに聞き書きグループが3本の演劇的プレゼンをつくるもの。
人に歴史あり。ひとは自分の人生のどこにポイントをおいて語り、聞き手はそれをどう受け止めて表現するのか。こちらのプログラムでも、時間の制約が作り手の集中力と緊張感をいやがうえにも高めて、実に興味深い3つの切り口のドラマが生まれたのだった。
プログラムが余りに充実していたせいだろう。帰りの電車でウトウトしてしまい、あやうく所沢駅を乗り過ごしそうになった。