月別アーカイブ: 1月 2016

餃子パーティー

餃子パーティー 010

大学食堂の軽食コーナーで餃子パーティーがあった。(上の写真は5階の教室から。富士山が良く見える)

餃子パーティー 013

3年生のゼミ幹事・金梅さん(ハルピン出身)の発案である。金さんの仕込みは完璧で、材料から鍋そして調味料にいたるまでキャリーバックにつめ、電車をつかって運んできたのだという。

餃子パーティー 017

作業の手早さも抜群、5限の授業を終えて、5階の教室から1階に降りたら、胡さんや白くんたちが手伝って、100個の餃子がもうあらかたできていた。

私もチョットだけ手伝わせてもらった。餃子の皮を丸く伸ばすのがなかなかうまくいかずに難渋したが、それでもやっているうちになんだか夢中になってしまった。

餃子パーティー 021

アッという間に水餃子と肉団子スープが完成。美味しいことはもちろんだが会話も弾んで大いに楽しい集いになった。

松下佳代先生の特別講義

松下氏特別講義 014

松下佳代先生(京都大学高等教育開発推進センター教授)にお願いした大学院特別講義「能力・学習・評価のオルターナティブ」が大盛況のうちに終わった。

2コマ分の講義だが、90枚を超すスライド資料が用意されていて、なんと<新しい能力>論の歴史的な流れから最先端の実践例まで一望できる。宮崎充治先生が「集中講義4日分くらいの内容が聴けたよね」と話していたが、まさにそうで、松下さんの研究の広がりと深さを実感できるまたとない機会となった。

もともと大学院生のための講義だが、せっかくの機会だからと公開したところ、ディープ・アクティブラーニングがテーマと言う事もあるだろうが、たちまち会場いっぱいの聴講者が集まった。大学院の講義にこんなに大勢のひとが集まったことはない。なかに理系大学院の先生の顔もみえたのが関心の高さをよく示している。

精力的かつ丁寧に説明してくださったが、なにより語り口に明るさと活気があるのが素晴らしい。印象的だったのは、聴き手の側のテンションが最後まで下がらなかったことで、それこそが「網羅主義化か活動主義化といった二項対立を超えていく必要がある」という講義のメッセージが聴講者にしっかり伝わった証だろう。

企画者としては嬉しい結果だったが、ディスカッションということを考えると、いかんせん会場が大きすぎた。別の機会に、内容知と方法知のダイナミズムなどについて、小規模な場でじっくり松下先生とディスカッションできたらなあと願っている。

大嶽部屋の朝稽古

新春合宿のプレゼンフェスタ、今回は素材が大相撲、テーマは「海外に伝えたいクールジャパン」である。いつもの通り、当日あつめた資料を使って半即興プレゼンを創る。

新春合宿 024

まず深川の大鵬道場・大嶽部屋を訪ねて早朝稽古を見学した。大嶽部屋は、いつもラマダンのことが話題になるあの大砂嵐関が所属する部屋で、大横綱・大鵬の大きな絵が、土俵を見つめている。大砂嵐関はいなかったが8人の力士の稽古をみせてもらった。つぎに両国の国技館まで歩いて相撲博物館を見学し、それから新木場の宿舎に戻った。あとは2時間ほどでプレゼンをつくる。

なんといっても早朝稽古の印象が圧倒的だった。身体と身体が真正面からぶつかり合う稽古の迫力は相当なものである。四股にはじまり、テッポウ、腕立て伏せ、すり足、ぶつかり稽古、申し合いという流れを一通りみせてもらった。

新春合宿 034

すり足までいくころには、力士の背中から汗が吹き出し、そのぶん、びんつけ油のにおいもいっそう強くなったように感じた。ところが、ぶつかり稽古、申し合いまで進むと、もはやそんな感傷どころではなくなる。ひょっとして力士のだれかが過呼吸で倒れやしないか、とハラハラするほどの激しい展開だからである。若手力士たちは、みな全身に砂がべったりとはりついている。見ている間にも、2人が鼻血をだし、1人が軽い脳震盪をおこした。

新春合宿 031

感心させられたのは、先輩が後輩を指導するシステムが実によくできていることだ。ぶつかり稽古でいえば、後輩たちが、まず土俵に塩を撒いて「次おねがいします」と稽古の順番待ちの意志を示す。申し合いが白熱してくると、しばしば二人の若手が同時に塩を撒いて土俵にはいってきてしまう。もちろん激しい稽古ではあるのだが、ただ激しいだけではない。むしろ流れるようにプログラムが進んでいくので、そこに一種の様式美さえ感じるようになるから不思議である。

見学を終えて「実際に稽古をみると、これからテレビを観るときの見方が変わるよね」という声がでたが、それほどインパクトがある。実際、3つのグループのプレゼンのうち2つまで、朝みた稽古風景を取り入れた発表になった。テーマも、一方が「間のとり方」、もう一方が「立ち合いの(阿吽の)呼吸」という具合に重なっている。

新春合宿 042

(写真:国技館は、初場所を目前にひかえて色とりどりの幟が林立し、じつに華やいだ雰囲気である。外国人観光客もたくさんきていた。)

正月のプレゼンフェスタは、去年まで「第5福竜丸」「東京大空襲」と重いテーマが続いたが、今回の「大相撲」でもう一つ新しい境地が開かれたようである。

灯台下暗し。会員の小松理津子先生が、なんと尾車部屋のベテラン力士・豪風関を金足農林高校の教師時代に教えたことがある、と知った。

 

100回目の定例会

今年も獲得研の新春合宿(1月4日―5日)の準備をしながら年を越した。暖冬とあって、わが家の庭では、サザンカとマンリョウ、そしてユリの花が一緒に咲いている。こんなことははじめてである。

年末にユリの開花 004

獲得研の共同研究をはじめてからこの春で満10年になる。こんどが10回目の合宿、定例会で数えると100回目の集まりである。この間に、研究成果を5冊の本として刊行することができた。開拓的な分野の仕事とあって、1冊刊行にこぎつけるだけでも膨大な時間がかかる。それを考えるにつけ、よくぞまあと思う。

出版活動と並行して、会員の自己研修と研究成果の普及のために全国各地で“あかり座”公演を続けている。この過程で、じつに様々な出会いを重ねてきた。これからでる獲得研の刊行物には、こうしたあかり座公演での経験が色濃く反映されていくことになるだろう。

これまであえて組織を大きくせず、小さな研究コミュニティーを維持する方針をとってきた。それだからこそ、意志決定が早く、機動性に富み、また研究テーマの継続性も担保できたと考えている。しかし、ただ小規模だから良いというわけではないし、それだけでは研究会のこれまでの活力を説明することができない。私のみるところ、活発な研究活動の背景の一つに、メンバー構成の問題があるように思う。

獲得研のメンバーを見ていると、それぞれに粒だった個性をもつ人たちだが、それでいて自分のやり方を変えることを恐れず、既存の枠組みを問い直すこともけっして怠らない、そういう柔軟な発想の持ち主がとりわけ多いように思う。思考実験大歓迎。言うところの“面白がり”の集まりが獲得研であり、これが自由闊達なディスカッションを生む土壌になっていると感じる。

カード 002

こんどの新春合宿では、高校生プレゼンフェスタのふり返り、あかり座徳島公演、第3巻の普及、春のセミナー、第4期のビジョンなど、盛りだくさんのプログラムが用意されている。「オトナのプレゼンフェスタ」に関連して相撲部屋の訪問も用意されているらしい。(写真は英国の友人から届いたe-カード)

100回目の区切りとなる今回の合宿が、研究内容の面でも転機になるという予感がある。さてどんなディスカッションができるのか、いまから大いに楽しみである。