10月の10日と11日に、岩手大学で日本教育方法学会があった。
私たちがやった8回目のラウンドテーブルのテーマは「平和学習の転換とドラマワーク」、あかり座沖縄公演の成果をもとに参加者でディスカッションする。和田俊彦先生によるDVD資料の解説と宮崎充治先生の課題提起は、どちらも周到に準備されたもので、発表としてはもう“鉄板”の域である。(岩手大学のキャンパスは広々している)
演劇教育が専門の広瀬綾子先生(梅光学院大学)など新しい顔ぶれがどんどん質問してくれたり、沖縄で平和学習を推進している山口剛史先生(琉球大学)が議論を盛り立ててくれたりと、絶え間なく応答が続いた。
お蔭で、井ノ口淳三先生(追手門学院大学)がコーディネーターをつとめた課題研究「戦後70年と平和教育」での議論と併せて、平和教育のパラダイム転換がいかに喫緊の課題になっているのか、みんなで再確認できた。
駅から大学に向かう途次、迂回して、盛岡城公園を歩いてみることにした。二の丸に石川啄木の歌碑「不来方の お城の草に 寝ころびて 空に吸われし 十五の心」があることで知られている。盛岡まできて見ないわけにはいくまい。(上の写真が二の丸付近、この右手に啄木の歌碑がある)
紅葉にはまだ早い。雨もようの天気とあって人かげもまばらである。そのぶん、雨に濡れた石垣のたたずまいがなんとも美しい。どこか懐かしい感じさえする。ほんのいっときだったが、ゆったりと良い時間がすごせた。
家に帰って、新発見の石垣の美しさについて語りはじめたら、ワイフがすぐ話に割って入って、「そうなのよ。あそこの石垣いいわよね」といった。「私も大好きで、盛岡にいくたんびに訪ねてるわ」。
ああそうなんだ。ところが驚いたことに、なんと「あなたとも一緒にいったことがあるわよ。啄木の歌碑もみたじゃない」と断言するではないか。
ありゃりゃ、私が感じた懐かしさの正体はこれだったんだ。