6月20日に成蹊小学校で百周年記念公開授業があった。9教科にまたがる51もの授業が公開され、獲得研の関係者も20名ほど参加した。10年毎に公開授業をしているということだが、何しろ区切りの百年とあって、学校側の力の入れ方も尋常でない。丸3年がかりで準備を進めたと聞く。
百周年にむけて整備した校舎がまた見事である。特別教室も廊下もそして普通教室と一体化した木製のデッキもすべて広々と美しい。各学年(東西南北の4クラス)が、ほどよい距離感で配置されている。
私は「こみち科」(生活科+総合学習)の授業を9つ全部見て回った。統一テーマは、「豊かなプレゼンテーション力を育てる」である。成蹊小学校は、総合学習の長い伝統をもっていて、こみち科の語源も学校の名称「成蹊」に由来する。
獲得研の林久博先生の「おてんき裁判」(2年生)は、子どもたちが「雨ふれチーム」「お天気チーム」にわかれ、赤いマントの神様(先生)にそれぞれ訴える劇遊びだ。雨の日にチームでそとへでて、観察したことを反映した発表をつくる。
こんな発表だった。時ならぬ雨に、女の子二人があわてて雨宿り。男の子が両手を差し出して屋根のポーズ。屋根の先端からさかんに雨だれがおちてくる音。それを見あげて「きれいだねえ」とうなずきあうふたり。子どもたちの柔らかい感性が息づいている。
公開授業のあとの分科会も、参加者60人を超す盛況ぶり。授業を公開した5人の先生たちが、それぞれのねらいや成果を率直に語ってくれる。
その場で、小学校の6年間を見通した「こみち科『プレゼンテーション力』の能力系統表」が発表された。これは、獲得研のいう「表現活動の三つのモード」(コトバ、モノ、身体)をすべて取りこんで、それぞれ学年ごとの習得課題を明らかにした表である。この「系統」と「活動・単元」を対応させて学びを組み立てる、きわめて意欲的なプランだ。
三つのモードをすべて取り込んで、しかもこれだけ具体的に展開する学習プランをまだみたことがない。研究活動を中心となって担ってきた林先生はじめ成蹊小学校の先生たちの、これまでの研鑽の深さがうかがえる。
わたしはすっかり嬉しくなって、今後の取り組みの成果も外部にむけてぜひ発信して欲しい、とお願いした。