オックスフォード大学、ヨーク大学へ

1週間のイギリス出張から帰った。ロンドン、オックスフォード、ヨーク、どの町もクリスマス・ムードで華やいでいる。学校はクリスマス休暇前の最終週だそうで、やはりなんとなくワクワクムードである。

トラファルガー広場にも大きなツリーが

トラファルガー広場にも大きなツリーが

出張のきっかけは池野範男教授(広島大学)とイアン・デービス教授(ヨーク大学)のあいだで「日英におけるシティズンシップ教育とドラマ教育」という共同研究の構想がもちあがったことだ。お二人は日英を代表するシティズンシップ教育の研究者である。私にドラマ教育の分野で声をかけてくれたのだが、興味深いテーマだから、喜んで参加させてもらうことにした。

日本側メンバーは、池野先生、深澤広明先生(広島大学教授)と私の3人。池野先生とははじめてだが、深澤先生とは、日本教育方法学会で「演劇的手法/演劇的知」について長年一緒にラウンドテーブルを運営している。今回のツアーには、この3人の他に、深澤先生が指導する修士課程の院生・佐藤雄一郎さんも参加した。

書店・ハッチャーズのディスプレイ

書店・ハッチャーズのディスプレイ

今回のいちばんの目的は、両国のメンバーが集まって研究内容のすりあわせをすることである。問題関心のつながるイギリス側の研究者たちと、膝をつきあわせてディスカッションできたのが何よりよかった。セミナーとあわせて、オックスフォードでは、地域の若者を巻き込んで多彩な創造活動をしているペガサス劇場、ヨークでは、シティズンシップ教育とドラマ教育に先進的に取り組んでいるジョセフ・ラウントリー・スクールをそれぞれ見学させてもらった。

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ジョセフ・ラウントリー・スクールでは、Aレベルのドラマ授業(Year12)に参加してから、次の1時間、車座になって彼らの問題関心をじっくりインタビューできた。学校側のもてなしは大変なもので、20人ばかりの生徒会役員が総出で、お茶の会をやってくれた。そのときの様子が、地元紙の「ザ・ヨーク・プレス」に載っている。

取材に来た記者の話では、もともとヨークシャー自体が広いところで、その全域をカバーするヨーク・プレスも、海岸部から内陸部まで、取材エリアがとても広いのだという。イギリスを代表する女優ジュディ・デンチがこの地方の出身で、里帰りインタビューを書いたから同日の掲載になるかも知れないよ、と私たちを大いに喜ばせてくれた。ただ、残念ながらそうならなかった。この日のトップは、地元郵便局の臨時職員の女性が、1千万円ばかり使いこんで、カリブ海ツアーなどの遊興費にあてていたという記事である。被害にあった局長夫妻が、写真入りで切々と窮状を述べている。

ロンドン、オックスフォードに各1泊、ヨークに3泊とかなり慌ただしく移動を繰り返した。最終日も、朝から12時までヨーク大学の教員とPHDコースの院生の発表を聴いてから、タクシーに飛び乗った。ヨーク駅、キングスクロス駅、パディントン駅経由でヒースロー空港まで行って、なんとか夕方の飛行機に間に合った。

いつもイギリスは1人でいくので、もう少し時間に余裕をもって動いている。ただ、忙しくはあったが、その分自然に良いチームワークもでき、充実した出張になった。

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