高校生プレゼンフェスタが、着実な進化を遂げている。今年も、11月23日(日)に跡見学園高校を会場にして、プレゼンフェスタがひらかれた。今回エントリーしたのは、海城高校、アメリカンスクール・イン・ジャパン(ASIJ)、目黒学院高校、中村高校、跡見学園高校、K.インターナショナルスクール、埼玉県立和光国際高校、都立立川高校、埼玉県立所沢北高校の9校45名である(参加者数順)。
この45名が男女混合の8チーム(5、6人ずつ)に分かれて、5分間の演劇的プレゼンテーションづくりに挑戦した。今回のテーマは「社会の何が問題?―その傾向と対策」。はじめての社会派テーマである。生徒が使えるのは、昼食、テーマ探し、リサーチワーク、発表準備をいれてきっかり2時間とあって、なかなか厳しいプログラムになっている。
運営スタッフとして、獲得研関係者が16人参加したから、生徒のサポートはバッチリ、ちょっと行き届き過ぎるのでは、という声もでた。教員デモンストレーションのスキットも新バージョン(①電車のマナー、②銃社会アメリカ:脚本・両角桂子)なら、ウォーミングアップのファシリテーター(田ヶ谷省三、杉山ますよ)、ガイダンスの担当者(和田俊彦)も新布陣とあって、どんどん経験の共有化が進んでいる。
テーマを社会的なトピックにしたのがなんといっても今回の新機軸だが、これで俄然生徒の動きが変わった。コンピュータ室と図書室をつかったリサーチワークがとりわけ活性化したのである。前回と大きく違う点がここだ。テーマを「東京オリンピック招致問題」と決めたチームが、2階の図書室にむけてダッシュし、新聞の縮刷版と格闘した。「リサーチワークからプレゼンへ」というフェスタの醍醐味を象徴する場面といってよい。
和田さんから「やっと先生が見たがっていた光景が出現しましたね」と反省会の席でいわれたが、まさにその通りである。
本番のプレゼンがまた良かった。インターナショナルスクールの生徒が多いこともあって、いつにもまして日本語と英語がごっちゃに飛び交っている。スマートフォンとの付き合い方、コミュニケーションの大切さ、男女差別の克服、ネット社会の光と影、英語教育の改革、日米の教育比較などがテーマになり、それぞれ問題点と改善策が提案された。
スキットによる発表が多かったが、TV番組仕立て、日米の授業風景の対比、ナレーション付き、P.P.との併用と多彩で、なかには「心の声(ボイス・イン・ザ・ヘッド)」を使いこなすチームまであって驚いた。
最初は生徒がおとなしすぎて、「声がでてないねえ」とウォームアップ担当の田ヶ谷さんを慌てさせたが、どうしてどうして、プレゼンの準備に入るころから状況が一変、プログラムが終了してもみな立ち去り難い様子で、いつまでも交流が続いていた。
いま、このフェスタの方式を「あかり座」地方公演でも活用できないか、と考えはじめている。