前半では「ドラマする理由とドラマのコツ」というタイトルで、報告者の自伝的教育論が語られました。新人教員の頃、厳しい教育環境の下での模索、様々な人々や教育運動との出会い、授業ばかりでなく特別活動、行事などを通しての厚みのある多様な取り組みが報告されました。
そのまなざしはいつも、教室に入れない子どもたちや、学びの喜びを感じたことがない子どもたちに向けられていたようです。「知・情・理、この3つが学校や授業には必要で、規律も育てながら、常に『学び』があるといいですね」と語っておられました。
現状に満足せず、役に立ちそうなものがあればすぐにでも教えを請いに行く心構えが印象的でした。このような教師の姿勢が生徒を育てていくのでしょう。
後半は獲得研レクチャーシリーズの第1回でした。日本の生徒は世界トップクラスの学力があるのに自己肯定感が低いのはなぜかという問いから講義が始まりました。
その原因の一つに日本の教育が持つ精神性が挙げられました。自覚・反省・我慢は日本の教育を理解するキーワードだが、アメリカの教師は生徒の向き不向きに配慮して難しいことはさせないとの指摘もなされました。
「日本の伝統的美徳は残しつつも、子どもたちに不要なストレスを与えない教育制度が必要ではないか」とのことばで講演は締めくくられました。