高校生プレゼンフェスタ」カテゴリーアーカイブ

第17回高校生プレゼンフェスタ

昨日、「第17回高校生プレゼンフェスタ」(早川則男委員長)があった。会場は昨年と同様、地下鉄・清澄白河駅にほど近い深川江戸資料館である。テーマの方は、リピーターの生徒のことも考えて、「江戸・東京の暮らし再発見」と変えている。

東京、埼玉の8校から集まった生徒30名が、5つのチームに分かれてプレゼンづくりに挑戦する。ちなみに今年の参加校は、海城高校、所沢北高校、啓明学園高校、日大一高、中村高校、正則高校、目黒学院高校、Kインターナショナルスクールである。

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同じ会場での開催とあって、資料館スタッフの方々との共通理解もあらかじめできているため、流れるようにプログラムが進んでいった印象がある。

(下の写真。両角、小宅チームのウォーミングアップ風景。よく練られたプログラムのせいで、参加者の雰囲気が一気になごむ)

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下の写真は、 総合ガイダンスの途中にはさんだ教員デモンストレーションで、タイトルは「初午の前」。長屋の助け合いの暮らしを描いたスキットを、昨年とは一部キャストを変えて再演している。

昨年も好評だったが、今回も日本教育新聞の佐原記者をして「一気に心をつかまれた」といわしめる熱演ぶりだった。(写真は、林、藤田、吉田、栗原チームの演技)

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総合ガイダンスは、藤牧朗ファミリーが担当。43枚のフリップを用意したKP法によるガイダンスは、もはや「てっぱんプログラム」の域である。

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昨年、展示資料そのものをハンズオン教材としてプレゼンで使わせていただいたのだが、今年はそれが更に進化し、本番の発表では、揚げ物などの食品サンプルが効果的に使われただけでなく、天秤棒をかついだ物売りまで登場するにぎやかなプレゼンになった。

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展示されているモノを手掛かりに使った発表が多かったせいだろうか。例年にくらべて、動き出しの早いチームが多く、その分、時間のマネジメントもうまくいった印象である。

5チームの発表をみると、江戸庶民の環境意識、防災意識、コミュニティのつながりに注目するものが多く、発表技法ということでいえば、クイズ・ショー、ニュース・ショー、スキットなど多彩な形式が使われているのが目立った。


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教師側の新機軸として、ふり返りの時間の運営がある。他チームの発表についてのコメントを、生徒たちがポストイットに書いて壁に貼り出し、それをみんなで共有する手法だ。

これは、ふり返り担当のひとりである小菅望美さんが、藤光由子先生(パリ日本文化会館)のやり方に倣ったもの。パリの発表会に参加して学んできたのだ。

(下の写真は、コメントの木。これに桜色のコメント・シートが一斉に貼り出される。立膝の二人がふり返り担当の次重、小菅ペア)


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パリ行きの成果が早速あらわれた形である。


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今回は、英語、中国語、韓国語のバックグラウンドをもつ生徒も多く、ひときわ多文化的な雰囲気のプレゼンフェスタだった。


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生徒のふり返りの工夫のほかに、新しい動きがもう一つあった。それは、獲得研側のふり返りセッションに、資料館のスタッフの方々も参加してくれたことだ。

ふり返りの時間を両者で共有できたのは、今後の連携をさぐるうえでもとりわけ意義深い動きだといえる。


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プレゼンフェスタの運営をめぐるチームワークの成熟ぶりをみるにつけ、「プレゼンフェスタ方式であかり座地方公演をやる」というプランが、いよいよ現実味を帯びてきた印象である。

第2回全仏高校生日本語プレゼンテーション発表会

獲得研の第121回例会で、早川則男先生(中村高校)、小菅望美先生(高崎市立北部小学校)から、3月3日にパリ日本文化会館であった発表会の参加報告があった。

(下の写真は発表会前日。エトワールにほど近いカフェ。藤光先生宅にも早川さんのホテルにも近く、居心地の良い空間だった。)

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運営にあたった藤光由子先生と連絡を重ねて周到に準備した参加報告である。発表会本番の詳細はもちろんのこと、企画のねらいからコルマール、ボルドー、サン・ジェルマン・アン・レーの各学校で指導にあたった先生たちの所感の内容にいたるまでが網羅された、じつに力のこもった報告だった。

 

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発表会当日の概要を、会館のHPで視聴することができる。

https://www.mcjp.fr/ja/agenda/journee-inter-lycees-dexposes-en-japonais

いつものごとく現地集合・現地解散で行動したのだが、発表会前日には、日本からの3人で、パリ・インターナショナルスクールのIBの授業を参観(石村清則先生)し、ESDを担当しておられる田中瑞穂さんのご案内でユネスコ本部の見学も実現できた。

(下の写真は発表会当日。パリ日本文化会館横の橋上から。エッフェル塔がすぐ近くにある。)

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小菅さんは、藤光先生宅のホームステイも含めて、今回のパリ行きが「今後の人生の転機になる」訪問だったと記しているし、早川さんは、「今後とりくむべき海外のあかり座公演のイメージが具体的になった」訪問だったと総括している。

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お二人の報告に接して、いま国内のあかり座公演のアイデアが色々にでているが、獲得研側の参加者の経験の質ということを考えると、あかり座地方公演と並行して、そろそろ海外公演の企画も具体化していく時期にきているのだなあ、と実感したことだった。

第16回高校生プレゼンフェスタ

昨日、「第16回高校生プレゼンフェスタ」(早川則男運営委員長)があった。今回のテーマは、「海外にむけて江戸・東京を発信しよう!」というもの。

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新機軸がいくつもあるが、なかでも、会場がいつもの跡見学園から、地下鉄・清澄白河駅のほど近くにある「深川江戸資料館」(江東区)に移ったことが大きい。

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ガイドさんたちの案内で、深川佐賀町の長屋や船宿などが再現された展示場を見学し、その展示場に隣接したホールでグループ・プレゼンテーションをつくる。

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参加者は、首都圏の公立・私立・インターナショナルの高校6校の生徒たち27名である。なかには2時間かけて会場にきた人もいる。

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この資料館には、説明版というものがない。そのかわり、見学者が展示品に手をふれたり、時間の流れ、鶏の声や雨音、光の移ろいを、五感で感じられたりできるように工夫している。

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「全身を使って学ぶ」というわれわれ獲得研のコンセプトにぴったりの資料館である。

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今回は、展示品そのものを、ハンズオン教材として発表の中で活用させていただいた。

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現代と江戸をどう結んで発表するのか、かなり高いハードルだが、そこは柔軟な高校生たちのこと、「君の名は。」の設定を借りてキャラクターを入れ替えるものあり、タイムスリップものあり、夢の中という設定ありで、実にやすやすとクリアしていた。

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参観者を公募したことも今回の新機軸のひとつ。おかげで、獲得研のメンバー、引率の先生と参観者、参観者同士という具合に、色んな交流も実現した。

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「振り返り」の会も、例年とは一味違ったものになった。プレゼンフェスタの枠組みそのものを心理学の視点から専門的に分析してくださる意見がでたりして、それもまた実に面白かった。

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本格的な振り返りはこれからだが、4月の例会でも色んな見方がでてくることが期待できそうである。

11回目の新春合宿

早いもので獲得研の正月合宿も11回を数える。今回から新しいプログラムが2つ加わった。

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1つは、3月28日(火)に予定されている「高校生プレゼンフェスタ」の予行演習だ。本番は「江東区深川江戸資料館」(江東区文化コミュニティ財団)の展示資料を使い、その場で“(仮)海外に伝えたい江戸のクール”を共通テーマにした演劇的プレゼンをつくる。今回は、そのシミュレーションをやってみようというのだ。

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天保年間の深川佐賀町の街並みを再現した展示会場をタップリ案内してもらったあと、合宿所に戻って5分間の発表をつくった。

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いまどきの高校生の生活と江戸庶民の暮らしではちょっと距離がありすぎやしないか、まして発表を創るとなると難しいのではないか、という危惧もでた。ただ、やってみると色んなアプローチができる。

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それで、大家さんが朝木戸を開けてから夜閉めるまで、長屋の人々の助け合いの暮らしぶりを描いた『初午の前』、タイムスリップした日英の若い女の子2人が、チョキ船の船頭や長唄の師匠から、自然と親しむ暮らしが現代につながっていることを学ぶ『今に生きる江戸の暮らし』、時代を隔てた2組の男女の生態を交互に演じて、果たしてどちらの暮らしがより豊かなのかと観客になげかける『シングルライフ ~今と昔~』という3本の発表ができた。

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これらの発表を、本番で展示解説をしてくださる深川江戸資料館の小張洋子さんにも楽しんでいただいた。高校生プレゼンフェスタの本番まではあと2か月、企画のイメージを資料館の方々とすり合わせる作業が、これからしばらく続くことになる。

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もう1つの新企画がオトナの「聞き書き甲子園」である。こちらは髙﨑彰、初海茂、三宅典子の各会員にそれぞれのライフコースを語ってもらい、その語りをもとに聞き書きグループが3本の演劇的プレゼンをつくるもの。

人に歴史あり。ひとは自分の人生のどこにポイントをおいて語り、聞き手はそれをどう受け止めて表現するのか。こちらのプログラムでも、時間の制約が作り手の集中力と緊張感をいやがうえにも高めて、実に興味深い3つの切り口のドラマが生まれたのだった。

プログラムが余りに充実していたせいだろう。帰りの電車でウトウトしてしまい、あやうく所沢駅を乗り過ごしそうになった。

中村高校でリユニオン

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中村高校で高校生プレゼンフェスタのリユニオンがあった。今回は、朝日新聞のインタビュー取材ということで、50人全員ではなく11人(2つの発表グループ、私立校を中心に8校)の生徒だけが集まった。フェスタのテーマ「18歳選挙権で日本はどうなる」が話題の中心である。

インタビュー会場は、校舎7階のコリドール。ここが眼下に清澄庭園・清澄公園をみおろす素晴らしい環境の図書館になっていて、公園と反対側の窓からはスカイツリーも見える。

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まずフェスタ当日の記録映像をみんなで観て、それから生徒たちが前田育穂記者の質問を受ける。この流れは、運営委員長の早川則男先生(中村高校)のアレンジである。久しぶりの再会で気持ちが弾んでいるうえに、ビデオ視聴でひとしきり盛り上がったせいで、すっかり雰囲気がなごんでいる。

インタビューを傍聴して気づいたが、生徒の文化的背景がとても豊かである。リトアニア人の留学生やASIJの生徒、ハンガリー留学から戻った生徒もいる。前田記者自身も帰国生とあって、ときに英語を交えながら、11人の生徒にまんべんなく意見を求めている。

そのお蔭で、生徒たちの自由闊達なおしゃべりが続き、何回かスーッと深い展開になるときがあった。フェスタで、なぜこんなにも多彩な発表ができるのかという話になった時のことである。今回、演劇やミュージカル仕立ての発表になったのは、当日の教師たちのモデルプレゼンが大きく影響しているし、違う学校の生徒たちが集まったことでグループ内に意見の多様性が生まれ、それが内容を面白くしたのだという。

では、自分の学校でいつものメンバーと発表をやったらフェスタのときと同じようにいくのだろうか。それは難しいらしい。学校で「発表」といえばパワーポイントが定番。そもそも日頃から意見をぶつけ合わせるということに慣れていないから、ネット情報そのままだったり、特定のだれかの意見にあわせたりする発表になってしまうのだという。こうした状況を変えていくのは、そう簡単ではないようだ。

今回の訪問で、久しぶりに小林和夫先生(中村中学・高等学校 理事長)にお目にかかった。小林先生は、毎朝全校生徒を校門で出迎え、彼女たちに元気に声をかけるのを日課にしている。体調を崩されたと聞いていたが、一時はひとりで寝返りもうてないほど重篤な状態だったらしい。

しかし、校門に立つ日を目標にリハビリを続け、みごと復帰されたという。なまなかの気力ではない。その姿がどんなにか周囲を励ましてきたことだろう。お話を聞くうちに、こちらまですっかり嬉しくなってしまったのだった。

第15回高校生プレゼンフェスタ―18歳選挙権で日本はどうなる

「第15回高校生プレゼンフェスタ」(11月22日)が、会場の跡見学園高校に50人ほどの高校生と20人近い教員が大集合して、賑やかにおこなわれた。はじめて出会う多文化的背景をもつ高校生たちが、その場でチームを組み、半即興型のプレゼンテーションの創造に挑戦するプログラムである。(以下の写真はすべてガイダンス風景。なかにモデル・プレゼンも組み込まれている)

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なんといっても今回の新機軸は「18歳選挙権で日本はどうなる」というビビッドなお題だったこと。さてどうアプローチするのかなあと思ってみていたら、やはり選挙への関心の低さを問題として指摘する発表が目立った。

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若者に選挙に行けという前にまず大人が変わる必要があるでしょというものから、周囲に流されず正しい情報にもとづいて責任のある判断をしようと主張するものまで色んなメッセージがあった。

発表内容もしっかりしていたが、同時に発表形式もニュース・ショーありミュージカル仕立てありとじつに多彩なものだった。とくに「(立体画像の)オンライン・ポスター」は、候補者がポスターの枠のなかで政策をアピールするという斬新な趣向で、会場が大いに盛り上がった。

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もうひとつの新機軸は、(生徒チームにまじって)教師チームがエントリーしたことだ。プレゼンフェスタにはもともと教師研修の性格がある。だから「作成プロセスを教師自身がリアルタイムで経験する」という試みは自然の流れなのだが、メンバーに余裕ができたことで今回それがやっと実現した。

興味深いのは、8つの生徒チームの発表が押しなべて既定の5分間に収まっていたのに、なぜだか教師チームだけ7分半もかかったことである。どうも夢中になって力が入りすぎたようである。それほどこのプログラムにはわくわく感がある。

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振りかえりのとき、ASIJのひとりの生徒から、今回で連続3回目の参加になることと、6月に卒業するのでこれから参加できなくなるのが残念だというコメントがあり、運営にあたった教師たちを大いに感激させた。高校生プレゼンフェスタはそういうコメントを生むようなプログラムになってきている。

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聞けば、3年連続参加の生徒が、ASIJには複数いるのだという。

第14回高校生プレゼンフェスタ

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高校生プレゼンフェスタが、着実な進化を遂げている。今年も、11月23日(日)に跡見学園高校を会場にして、プレゼンフェスタがひらかれた。今回エントリーしたのは、海城高校、アメリカンスクール・イン・ジャパン(ASIJ)、目黒学院高校、中村高校、跡見学園高校、K.インターナショナルスクール、埼玉県立和光国際高校、都立立川高校、埼玉県立所沢北高校の9校45名である(参加者数順)。

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この45名が男女混合の8チーム(5、6人ずつ)に分かれて、5分間の演劇的プレゼンテーションづくりに挑戦した。今回のテーマは「社会の何が問題?―その傾向と対策」。はじめての社会派テーマである。生徒が使えるのは、昼食、テーマ探し、リサーチワーク、発表準備をいれてきっかり2時間とあって、なかなか厳しいプログラムになっている。

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運営スタッフとして、獲得研関係者が16人参加したから、生徒のサポートはバッチリ、ちょっと行き届き過ぎるのでは、という声もでた。教員デモンストレーションのスキットも新バージョン(①電車のマナー、②銃社会アメリカ:脚本・両角桂子)なら、ウォーミングアップのファシリテーター(田ヶ谷省三、杉山ますよ)、ガイダンスの担当者(和田俊彦)も新布陣とあって、どんどん経験の共有化が進んでいる。

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テーマを社会的なトピックにしたのがなんといっても今回の新機軸だが、これで俄然生徒の動きが変わった。コンピュータ室と図書室をつかったリサーチワークがとりわけ活性化したのである。前回と大きく違う点がここだ。テーマを「東京オリンピック招致問題」と決めたチームが、2階の図書室にむけてダッシュし、新聞の縮刷版と格闘した。「リサーチワークからプレゼンへ」というフェスタの醍醐味を象徴する場面といってよい。

和田さんから「やっと先生が見たがっていた光景が出現しましたね」と反省会の席でいわれたが、まさにその通りである。

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本番のプレゼンがまた良かった。インターナショナルスクールの生徒が多いこともあって、いつにもまして日本語と英語がごっちゃに飛び交っている。スマートフォンとの付き合い方、コミュニケーションの大切さ、男女差別の克服、ネット社会の光と影、英語教育の改革、日米の教育比較などがテーマになり、それぞれ問題点と改善策が提案された。

スキットによる発表が多かったが、TV番組仕立て、日米の授業風景の対比、ナレーション付き、P.P.との併用と多彩で、なかには「心の声(ボイス・イン・ザ・ヘッド)」を使いこなすチームまであって驚いた。

最初は生徒がおとなしすぎて、「声がでてないねえ」とウォームアップ担当の田ヶ谷さんを慌てさせたが、どうしてどうして、プレゼンの準備に入るころから状況が一変、プログラムが終了してもみな立ち去り難い様子で、いつまでも交流が続いていた。

いま、このフェスタの方式を「あかり座」地方公演でも活用できないか、と考えはじめている。

第13回高校生プレゼンフェスタ

主催者挨拶は奈良教育大学の渋谷真樹先生

主催者挨拶は奈良教育大学の渋谷真樹先生

はじめて出会った高校生たちが、その場でチームを組んで演劇的プレゼンテーションに挑戦する「高校生プレゼンフェスタ」が11月23日(土)に跡見学園高校であった。今回は、8つの高校から48人がエントリーし、創造的な表現活動を楽しんだ。スタッフ、参観者も30人いるから、まさに賑やかなお祭である。

お題は「海外の高校生に伝えたい日本!」。このテーマが発表されるや、会場に「オーッ!」というどよめきが起こった。2時間のリサーチ・タイムで5分の発表。8チーム(各6人)が、メイン会場の会議室と、メディアルーム、図書室、小アリーナを自由に行き来して準備を進める。

高校生たちが取り上げた素材は、日本人の親切心や思いやり、伝統文化、サブカルチャー、高校生のスクールライフとさまざま。発表形式も、スキットあり、ダンス・パフォーマンスありと、前回よりさらに多彩になった。

日本アニメの市場占有率がフランスで8割をこすと数字を示すチーム、アニメのキャラクターをお面にしたてて登場するチームなど、ネットで情報にアクセスし、それを巧みに組み込んで発表をつくっている。

ポーズ送りのデモンストレーション

ポーズ送りのデモンストレーション

恋愛観を追究した「ヨッシー」チームは、外国人高校生カップルと日本人高校生カップルの交際ぶりの違いを、振り分けで演じてみせた。解説者のコメントつきである。バレンタインデーからホワイトデーまで、若者たちの行動を時間的推移にそって演じるという巧みな構成で会場を沸かせた。

ベスト・プレゼン賞をとった「Japan Warmth」チームは、日本を紹介するTV番組という設定。スタジオと浅草、京都の街頭をつなぎ、こちらも振り分けで日本人の行動パターンを実況中継する。京都では「ゴミ拾いマイスター」なるプロに遭遇して、優雅で素早い身のこなしで通りをきれいにする様子を見せる。なんだかこんな人が本当にいそうな気がするから面白い。

今回は、異文化間教育学会の研究プロジェクトということを配慮して、帰国生はもちろん、留学生や外国人高校生の参加にも力をいれた。これが良かった。アメリカ、ドイツ、フィンランド、インド、タイ、韓国、中国など、豊かなバックグラウンドをもつ高校生たちの学びの場が生まれたからだ。

記念写真 先生たちの顔にも充実感が

記念写真 先生たちの顔にも充実感が

運営委員会の先生たちが「大阪弁を共通語にすべし!」というディベート・ドラマをしたり、「もったいない」パフォーマンスを披露したりと、身体をはってデモンストレーションに取り組んだのも効果的だった。これだけやられたら、高校生も奮起せずにはいられない。

本格的な振り返りはこれからだが、プレゼンフェスタは、工夫次第で色んなバリエーションを生む可能性を秘めていることが実感できた。これからどう育っていくのか、楽しみである。

第12回高校生プレゼンフェスタ(2)

ウォームアップ 「あっちこっち」

ウォームアップ 「あっちこっち」

昨日、はじめて出会った高校生たちがグループ・プレゼンテーションに挑戦する「第12回高校生プレゼンフェスタ」(早川則男運営委員長)があった。会場の跡見学園中学高等学校は都内屈指の伝統校で、あいさつはすべて「ごきげんよう」、桜の紋が校章である。花曇りの暖かい一日とあって、夕方校舎をでるころまでに玄関前の桜がほぼ満開になった。

午前10時半開始のプログラムは、大きく3つに分かれている。A:ウォームアップ・アクティビティ+ガイダンス(1時間)、B:昼食をとりつつプレゼン準備(2時間)、C:プレゼン本番+振り返りと講評(1時間半)である。

チーム構成もプレゼンのテーマも、生徒は当日に知らされる。その直後から、2時間の準備で5分以内の発表をつくることになる。発表形式は全身をつかう演劇的手法だ。こうした強い制約のもとで創造のプロセスを味わうプロジェクト、それが「プレゼンフェスタ」である。おそらく高校生の交流事業として、日本ではじめての取り組みだろう。

パイロットケースと位置づけた今回は、東京・埼玉の8つの高校から44人(男女 1年生~3年生)が参加してくれた。カナダ、オーストラリア、フランスなどに留学した経験をもつ人がかなり入っているし、外国籍の人もいる。

この44人を各校混成の8チーム(各5~6人)に分ける。提示したテーマは、「かっこいい大人になるには」と「若者よ、海をわたれ!」のどちらか1つ。図書室もコンピュータ室も完全開放だから、自由に発表会場とのあいだを移動しながらプレゼンをつくる。

まったくもって楽しい発表だった。生徒から「かぶる発表がひとつもなかった」と驚きの声があがったように、彼らの考えた論点も状況設定もそれぞれ違っていたし、発表形式もスキット、ニュースショー、ディベート・ドラマと多彩だった。

跡見学園の桜 朝の風景

跡見学園の桜 朝の風景

なかでも「かっこいい大人になるには」をやったDチームの洗練ぶりが光った。彼らは、かっこ良さのポイントを4つあげる。ダンディーさ、他人にない独自の能力、教養、知識である。

面白いのは振り分けで表現する工夫だ。下手にならんだ3人がそれぞれのポイントをめぐって会話すると、観客に背を向けて立っていた上手の3人が突如ふりむき、どのポイントもそれだけでは「かっこ良さ」の十分条件にならないことをショート・スキットで演じてみせる。これら4つを総合する人間的経験こそ大切、が結論だ。「それをめざすのはいつ?」「今でしょう」と話題のCMをパクって全員が唱和し、会場がワーッと沸いた。

講評で「次の機会にまたやってみたい?」と訊くと、参加者のほぼ全員が躊躇なく手を挙げた。相当な充実感、達成感だったようだ。運営委員の振り返りでも、中原道高さんや田ヶ谷省三さんから、これまでの10年間の蓄積がすべて活かされた結果ではないか、という意見がでた。わたしもそう思う。

新企画の成功を支えているのは、教師側のチームワークの成熟である。周到に準備されたウォームアップ・アクティビティ、見事なデモンストレーション、柔軟なプログラム管理、こまやかな会場校の心配りなどによくそれが示されている。

これらと、引率メンバーのひごろの教育活動とが相まって、生徒が安心して自分をだせる表現空間が生まれたのである。かくして高校生意見発表会が新しいステージに入った。

第12回高校生プレゼン・フェスタ(1)

東日本大震災で中断していた「高校生意見発表会」が、「高校生プレゼン・フェスタ」に姿をかえて復活する。東京・埼玉の高校生が、ランダムにチームを組み、その場でもらったテーマでグループ・プレゼンテーションを準備し、発表者にもなり観客にもなる、という新しい試みだ。(3月20日・祝日 文京区の跡見学園中学高等学校)

もとになった「高校生意見発表会」は、1999年から都立工芸高校や跡見学園を会場として、年一回開かれてきた。「見て、聞いて、感じて! 私の経験、私の提案」という共通テーマのもとで、これまでに235名の高校生・留学生がプレゼンテーションに挑戦している。

この企画は、一人の企業人の熱意からはじまった。小石川ロータリークラブの役員だった太田幹二さん(科研製薬会長、太田記念美術館館長 故人)である。海外の若者をホームステイさせた経験から、留学生もまじえて若者同士の交流をすすめたいと考えたのだ。太田さんが東京都教育委員会に相談にいき、そこから中野佳代子さん(国際文化フォーラム事務局長)そして私へとバトンがつながり、3人のタッグでこの企画がはじまった

そんな経緯だから、現場主導でやられているいまのやり方とは運営形態もずいぶん違っていた。東京都第4学区校長会(文京区、板橋区、北区)の会長さんの学校が、毎年持ち回りで幹事校をつとめる方式である。発表会当日には、ロータリークラブの正装をした年配の企業人がズラリ並んで若者たちをでむかえる。

東京都の組織替えがあり、いまは校長会そのものがなくなっている。変わっていないのは、プレゼン形式の多様性である。NHKの「青年の主張」の形式でもよいのだが、せっかくだから、演劇的手法やダンスなど全身を使ったプレゼンにも挑戦してもらおう、と考えた。それで参加校向け説明会では、「エデュケーション・ナウ」のビデオを使い、ポスターセッション、集団スピーチ、架空座談会など、さまざまな表現のスタイルを見てもらうことにした。

事業の単年度主義をとる小石川ロータリークラブが、同じ事業を7年間もつづけたのは異例のことらしい。4年目に椿山荘の例会で、「高校生意見発表会に期待すること」というテーマのスピーチを頼まれたのは、継続の意義を確認するためだろう。太田さんの牽引力の賜物だが、継続を可能にしたのは、高校生のプレゼンテーションの素晴らしさである。

海外に飛び出して気づいたこと、留学生がみた日本人の行動様式、引きこもりから抜け出した経緯など、さまざまな経験が壇上で語られる。彼らのひた向きな姿勢に、人生のベテランたちが触発され、毎回“今どきの若者”のイメージがひっくりかえされた。

いまは世をあげてプレゼン・ブームである。いたるところでプレゼンテーション能力の必要性が叫ばれている。しかし、私たちのコンセプトは、ただ能力をたかめるというだけでなく、参加者同士が交流を楽しみ、さまざまな表現スタイルにふれることにある。意見発表会からフェスタへの移行は、その姿勢をより鮮明にしたものだといえる。