『<トム・ソーヤ>を遊ぶ』

年末に嬉しいことがあった。獲得研のメンバーである武田富美子さんと吉田真理子さんの『<トム・ソーヤ>を遊ぶ』(晩成書房)が刊行されたのだ。www.bansei.co.jp/

本書の発刊は、ドラマワークを通じて、マーク・トウェインの文学世界に通じる新しい道が切り拓かれたことの証である。

二人は、ドラマ教育の分野でもっともアクティブな実践的研究者のグループに属する。背景も個性も違う二人が、ときに激しく衝突しながら、お互いへの尊敬の念を失うことなく、7年がかりでドラマワークの共同開発に取り組んだ。なかなかできることではない。

本書の特徴の一つは、マーク・トウェイン文学に明るくない読者でも、多彩な楽しみ方ができることだろう。というのも、作品の解説、様々なアクティビティを駆使して展開されるワークショップとそのふり返り、ミシシッピ川周辺の現地取材報告など、懇切でライブ感あふれる構成になっているからだ。

刊行に漕ぎつけるまでに、どんな紆余曲折があったのか、その舞台裏まで含めて書いているので面白くないはずがない。

わたしも「本書によせて」で、お二人にかかわるちょっとしたエピソードを寄稿している。自立した研究者の共同研究の一つのモデルとしても、お目通しいただきたい。

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