Ryeー中世の面影を残す町

ロンドンを離れて、しばらくは英国の南東部、南西部の町々を訪ねる。昨日は、ロンドン・ビクトリア駅から南東に2時間ほど、イースト・エセックスにある町ライについた。


14世紀の建物があることで知られるが、丘上にある町全体が、中世以来の様々な様式の建築物で彩られている。17世紀に作られたグラマー・スクール(現在はレコード店)もある。どうも英国人の郷愁を誘う町らしく、年配の観光客が多い印象である。

駅に降りると、まずは地図を入手するのだが、インフォメーションが見当たらない。窓口に一人ぽつねんと座っている駅員さんが、フリー・タウンマップと書かれた手描きの地図のコピーをくれた。

ホテルは、駅から斜面をあがって徒歩5分。そこがもう観光スポットの中心地付近である。それほど小さな町だ。

部屋に入って最初に感じたのは「まいったなあ。観光シーズンに、観光地の真ん中に飛び込んでしまった」ということ。案内されたのは、一人旅に似つかわしくない大きくてロマンチックな部屋である。

建物の2階正面に位置し、張り出しスペースにベランダまでついている。あまつさえ昼間からシャンデリアが燦然と輝いている。前の通りをぞろぞろ観光客が通るから、なんだかショーウィンドーのなかで暮らすような具合である。

しかし、夜になると嘘のように人影がぱたりと途絶えた。こうなると丘の上の静かなホテルである。それで、以前、津和野の町に泊まった時のことを思い出した。

そのかわり、朝の散歩が素晴らしい。人っ子一人いない町を歩いていると、昼間は見えなかった、建物の細部や街並みのつながり具合がとても良く分かる。

それで、人ごみの多い昼間をさけ、朝と夕方の見学に時間を割くことにした。

そうなると現金なもので、こういう部屋も悪くないなあ、という気がしてくる。なにしろシャンデリアが無闇に明るいので、夜中でも仕事ができる。バスルームにいたっては、ひょっとしてロンドンで泊まっている宿の部屋より広いのではないか。

窓外の景色が素晴らしい。眼下に芝生の広い公園、その向こうにライ繁栄の礎となる海運を支えたRother川、さらにその向こうに、羊のいる牧場が果てしなく続いている。


なんだかもうしばらく滞在してもいいなあ、なんて思うようになってくるのだから、勝手なものである。

 

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