ゴヨウマツと臥竜の松(クロマツ)を透かしてもらうと、上の写真のような表情が姿をあらわした。現代アートのオブジェを思わせる迫力である。
剪定によってゴヨウマツの存在感が格段に高まった。わけても長大な枝がみせる表情の多彩さに驚かされる。
臥竜の松に注目してみると、地面から左手上方に伸びあがった幹が、いったん大きくうねって右手の高みをめざしているように見える。なるほど頭をもたげて上空に飛びあがらんとする龍の姿である。
時間をかけて眺めているうちに、隠れていた庭の構造が次第にはっきり見えるようになってきた。2本の松は、もともと一体でデザインされたものだろう。
庭を眺めることは、古人との対話であり、時間との対話であり同時に一種の謎解きでもある、そんな風に感じはじめている。