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旧角川邸、旧大田黒邸の庭

ほとんど外出しないまま大型連休を終えたのだが、思い立って、連休の終盤に荻窪駅の南口にある角川庭園・幻戯山房と大田黒公園を訪ねた。どちらも杉並区が管理している。

旧角川邸は、細部まで神経の行き届いた近代数寄屋建築(加倉井昭夫設計)と庭園が融合して、庭屋一体、きわめて居心地の良い空間になっている。

かつては眼下に畑が広がる風景だったというが、南にゆるやかに傾斜した段丘を活かした明るい雰囲気の庭である。

庭の広さとそれに見合った小ぶりな植栽のバランスがみごとで、なんとも言い難い洗練さがある。わたしは住み手である角川源義という人の美意識にちょっとふれられた気がした。

同じ個人住宅だが、旧大田黒元雄邸は角川邸とは対照的なたたずまいで、広い邸内に林立する松、モミジの巨木が圧巻である。箱根あたりの庭にありそうな、豪壮な石組みと立派な池泉もそなえている。

ただ、若き日をヨーロッパで過ごした人の好みだろう。建物の前に広がる景色が広い芝生になっているせいで英国の風景式庭園を思わせから、どちらかといえば折衷様式のテイストがある。

この大田黒邸のアカマツ群は、見上げると首がいたくなるほどの高さで林立している。余りの迫力に最初こそ驚くが、そのうち、なるほど林立する幹そのものが見どころになる庭もあるのだと、納得させられた。

角川邸で時ならぬ雷雨にあい、長い雨宿りになってしまったが、それもまた風情があって楽しかった。