先週の土曜日に、三鷹公会堂で中村哲さんの講演会があった。開始に先立って、ペシャワール会がつくった「緑の大地計画」のビデオを映写室からみた。この「アフガニスタン用水路が運ぶ恵みと平和」(朗読:吉永小百合)の映像が凄い。
荒廃し砂漠化した土地に、アフガン人スタッフと人力で27キロメートルに及ぶ農業用水路を建設、すでに16000ha以上の土地を緑の沃野に甦らせている。取水堰の技術は、中村さんの故郷大牟田で江戸時代から使われている堰の技術を応用したのだという。
中村哲さんは、雄弁の人ではない。30年以上たゆまず続けている活動の圧倒的リアリティが、会場につめかけた聴衆の心に深く静かにしみこんでくる、そんなタイプの講演だった。
講演の後に、澤地久枝さんとの対談があった。そこで澤地さんが、日本国内はこんなにもヒドイ政治状況なってしまっているが、中村さんのしている仕事のことを考えるたび、絶望するのはまだ早いと思えてくる、と語って会場から大きな拍手が起こった。澤地さんの発言は、私を含む多くの聴衆の思いでもあったようだ。