月別アーカイブ: 3月 2017

ロンドンの公園

英国がEU離脱を正式に通告した。移行に2年の時間をかけるということだが、これから両方の側が手探り状態を続けていくことになる。

スーパーの品揃えからレストランのメニューに至るまで、ロンドンが「欧州化」していく様子を長い年月観察してきた。まさかこんな時がくるとは想像していなかったが、離脱によって市民の生活がどう変わっていくのか、これからも見守っていこうと思っている。(下の写真は、ホランド・パーク。京都公園、福島公園のコーナーもある)

ロンドン1

ロンドンは、一日のあいだに、晴れ、曇り、雨と、天気が目まぐるしく変化する。傘をかかえて、ホランド・パークとセントジェームス・パークを歩いてみたが、同じ都市型公園でも、ずいぶん対照的な雰囲気である。

ロンドン2

ホランド・パークでは、近くに住む市民が、晴れ間をぬって、ゆったり散歩したり、ベンチでくつろいだりする姿がみられる。隣接するデザイン博物館の見学をしていたら、そこで働く若者グレゴリーさんに声をかけられ、彼の将来の夢についてたっぷり話を聞いた。(下の写真は、デザイン博物館の館内)

ロンドン3

バッキンガム宮殿に隣接するセントジェームス・パークは、はじめてだが、さすがに観光地だけあって、色んな言葉をはなす団体がひっきりなしに行きかい、賑やかである。(下の写真は、セントジェームス・パーク)

ロンドン5 (1)

行きがけに、最寄りのウェストミンスター寺院のまえで、なんとなしにシャッターをきった。寺院の奥に、テムズ川の対岸にあるロンドン・アイと手前にある国会議事堂が映りこんでいる。

ロンドン5 (2)

帰国後、数日して、ウォータールー橋のうえを、国会議事堂側に向かって車が暴走してくるニュース映像をみた。

日にちが少しずれていたら、ひょっとしてテロ事件にまきこまれることになったのかも知れない。

第16回高校生プレゼンフェスタ

昨日、「第16回高校生プレゼンフェスタ」(早川則男運営委員長)があった。今回のテーマは、「海外にむけて江戸・東京を発信しよう!」というもの。

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新機軸がいくつもあるが、なかでも、会場がいつもの跡見学園から、地下鉄・清澄白河駅のほど近くにある「深川江戸資料館」(江東区)に移ったことが大きい。

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ガイドさんたちの案内で、深川佐賀町の長屋や船宿などが再現された展示場を見学し、その展示場に隣接したホールでグループ・プレゼンテーションをつくる。

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参加者は、首都圏の公立・私立・インターナショナルの高校6校の生徒たち27名である。なかには2時間かけて会場にきた人もいる。

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この資料館には、説明版というものがない。そのかわり、見学者が展示品に手をふれたり、時間の流れ、鶏の声や雨音、光の移ろいを、五感で感じられたりできるように工夫している。

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「全身を使って学ぶ」というわれわれ獲得研のコンセプトにぴったりの資料館である。

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今回は、展示品そのものを、ハンズオン教材として発表の中で活用させていただいた。

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現代と江戸をどう結んで発表するのか、かなり高いハードルだが、そこは柔軟な高校生たちのこと、「君の名は。」の設定を借りてキャラクターを入れ替えるものあり、タイムスリップものあり、夢の中という設定ありで、実にやすやすとクリアしていた。

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参観者を公募したことも今回の新機軸のひとつ。おかげで、獲得研のメンバー、引率の先生と参観者、参観者同士という具合に、色んな交流も実現した。

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「振り返り」の会も、例年とは一味違ったものになった。プレゼンフェスタの枠組みそのものを心理学の視点から専門的に分析してくださる意見がでたりして、それもまた実に面白かった。

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本格的な振り返りはこれからだが、4月の例会でも色んな見方がでてくることが期待できそうである。

ロイヤル・ホロウェイ校の訪問

学年末の慌ただしさで、あちこちにご無沙汰している。ブログの件もそうで、書きたい材料はたくさんあるのだが、何しろアップする時間的余裕がない。

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先日、ロンドン大学のロイヤル・ホロウェイ校にヘレン・ニコルソン教授を訪ねた。もう10年近く前のことだが、ニコルソンさんのワークショップにでて、彼女の知的なファシリテーションに感銘を受けた。中山夏織さん訳の『応用ドラマ―演劇の贈りもの』(而立書房)を読むと、彼女の学術的背景がよくわかる。

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ロイヤル・ホロウェイ校のキャンパスは、ウォータールー駅から急行で30分あまり、最寄り駅からさらにタクシーで5分ばかりいった小高い丘の上にある。建物も立派だが、校内であう学生、あう学生が、みな親切で落ち着いた印象である。

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ひょっとしたら日本の外にある唯一の能楽堂ではないか、という舞台も案内していただいた。ロシア、インドネシアの演劇に関する科目も用意されているというから、ロイヤル・ホロウェイ校のシアター、ドラマ専攻は相当に多文化的なコースである。

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リテラシー重視の教育政策の下で、ドラマ教育を含む芸術系の科目は、イギリスの小中高校、どこでも苦戦を強いられている。学校教育のそうした状況がもうしばらく続いている。

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ただ、同校についていうと、もともとドラマ教師の養成を主としているわけではないので、影響は限定的なものらしい。むしろ、“創造性”をたっぷり身に着けた卒業生たちが、色んなジャンルで活躍している、ということだった。