土曜日は、松下佳代先生(京都大学・高等教育開発推進センター教授)と獲得研メンバーの対話集会だった。松下先生の提唱するディープ・アクティブラーニングと獲得型学習の接点を探る試みである。
今回は、回を重ねて第107回定例会。これまで何人もの講師を例会にお招きしたが、今回のように対話という形式をとるのは初めてだ。
実はこの春も松下先生に「大学院特別講義」をお願いしていて、そのときは教育学専攻はじまって以来という数の聴衆が集まった。有り難いことではあったが、おかげで先生とゆっくり対話する時間がとれず、今回の例会で仕切り直すことになった。
松下先生は、「深さ」を追求する学習論の系譜として、①深い学習、②深い理解、③深い関与という3つの流れがあると整理したうえで、ディープ・アクティブラーニングと獲得型学習の接点が、③の「深い関与」というところにあるのではないかと指摘してくださっている。
学びというものを認知の世界だけにとどめて考えるのではなく、認知・情動・身体をホリスティックに捉えて、学習者が“対象世界にひたる”ことを重視する、そこに両者の共通点を見出すというのである。
松下先生のこの提起からはじまった対話は、学習指導要領をめぐる動向、教師論、能力論、評価論、内容論と方法論の関わりなど多岐にわたって展開し、あっという間の3時間だった。
対話を終えて、松下先生の謙虚で誠実な研究者としての姿勢が強く印象に残った。それと同時に、今回の対話集会が“私たちの取り組みの今”を確認するまたとない機会となったし、獲得研にとってまさに”エポック・メーキングな一日だったなあ”と感じている。