ミュンヘンで―グリューネバルトがない!

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ミュンヘンに移動してから、ポケットの小銭がやたらにふえた。茶色い1セント硬貨がどんどんたまってしまう。ハンガリーのときは、ポケットのなかがもっとシンプルだった。どうしてそうなったのか聞き忘れたが、そもそもハンガリーには1フリント硬貨というものがない。「2捨3入」という方式らしい。清算のときに0か5になってしまうからやり取りする硬貨が実にわかりやすかった。(上の写真は、アルテ・ピナコテークの内部、下はデューラーの自画像)

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もうひとつの変化は、ホテルの外を行きかう人がやたらに多いこと。ホテルがミュンヘン中央駅からUバーンで一つとなりのカールス広場にある。そのとなりの駅が中心部のマリエン広場である。中央駅にもマリエン広場駅にも、どちらにも歩いて10分かからない。都市の動線でいえば、人の流れの一番多いところに宿をとってしまったようだ。幸いなことに、部屋が最上階で、外の喧騒が嘘のように静かである。むしろブダペストのホテルよりも静かである。おかげで仕事が捗るのでありがたい。

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まずはアルテ・ピナコテークにいってみた。ルネサンス絵画のみごとなコレクションで知られている。ラファエロの母子像、レンブラントの連作、デューラーの自画像と見ごたえのあるものが多いが、肝心のグリューネバルトの作品が見当たらない。「辱められるキリスト」「聖エラスムスと聖マウリティウスの出会い」の2点である。受付で聞き会場係のひとにも聞いて探してもらったが、どうも展示されていないようだ。(上は、アルテ・ピナコテークのカフェテリア)

ここでグリューネバルトの2点をみてから、フランスのコルマールにいき、例の“イーゼンハイム祭壇画”をみるつもりだったので、いきなり計画がとん挫してしまった。

すこしがっかりして外にでたら、ガイドブックにない建物がある。新しくできたエジプト博物館である。これが意外な収穫だった。展示品のレベルということでいえば、大作が目白押しにならぶルーブルの大迫力はない。驚いたのは展示空間のデザインの見事さ、ディスプレイ画面のハイテクさ、そしてスタッフの熱心さである。

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専門博物館だけあって展示品の種類も多い。ルーブルの「書記の像」は大好きな作品のひとつだが、わたしはここではじめてエジプト彫刻のバリエーションの豊かさというものを知った。

身なりのいい初老の男性が、第1室につながる大きなガラスのドアをわざわざ手で開けてくれて、どう展示をみたらいいのか、アドバイスまでしてくれる。優雅なものである。お客がわんさと押し寄せるルーブルとは対極のたたずまいだ。

それで「ああ、ここが現代ドイツのひとつの側面を象徴するところなんだろうなあ」と感じたことだった。

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