月別アーカイブ: 2月 2016

門司と小倉

福岡・小倉・飯塚 054

小倉まではいったことがあるが、門司港ははじめてである。岸壁に立つと、下関の側が指呼の間に見える。トンネルを通って徒歩15分で対岸に行けるというから、海峡というよりも運河という印象だ。

福岡・小倉・飯塚 053

レトロタウンらしく洋館風の建物が港の周囲にいくつかあり、ちっちゃな横浜といった雰囲気である。一方で、駅の構内に、大陸からの引揚者が飲んだという「帰り水」の水道栓などインパクトのある遺構も残っている。

福岡・小倉・飯塚 057

風雨のなか門司港をでて、小倉の松本清張記念館を訪ねた。若い頃に、どちらかというと推理小説よりも「昭和史発掘」などの歴史ものの方をよく読んだ。書斎と書庫が復元されているとあって、どうしても見てみたいと思っていたのだ。(写真は北九州市役所前)

書斎は、今見ると、実に質素な空間である。ショーケースに絶筆となる「神々の乱心」の校正刷りがでていて、それがなんと6校まである。いやはや凄い仕事ぶりである。

記念館をでたら、永年の懸案がひとつ片付いた気分になった。

雪景色

雪景色 001

目覚めたら、ビックリするような美しい雪景色になっていた。昨夜遅くに帰宅したが、雨に一片、二片、雪がまじっている程度だったから、その後のことだろう。

雪景色 002

八国山のむこうから朝日がさし、霧氷のような景色がやや逆光になってみえる。だいたいがぼってりした重たい雪だから、なおさら驚いた。昨夜は相当に冷えたようだ。

気分爽快。さて、これから英国出張の準備にかかる。短い時間でロンドンからデボン州まで足をのばすことになるから、出発前に少し休みが欲しいのだが、なかなかそうもいかないようである。

嘉穂劇場

福岡・小倉・飯塚 072

飯塚市にある嘉穂劇場にいってみた。博多駅からJRの快速で40分、飯塚駅で降りて1キロほどいくと、遠賀川の岸辺近くに目指す劇場がある。このあたり、藩政時代は長崎街道の飯塚宿だったというが、われわれ世代の人間には、筑豊炭鉱という言葉と一緒に記憶されている場所だ。いまでも川べりからボタ山らしい山の姿を遠望できる。

嘉穂劇場は、昭和6年落成というからそんなに古い劇場ではない。ただ、1200席という客席をもつ大きな建物だけあって、せいせいするくらいの大空間である。舞台も盆もすこぶるつきに広い。

福岡・小倉・飯塚 078

嘉穂劇場は、公演のない日に、さまざまなイベントを用意して見学者を迎えている。ちょうど今は全市をあげて「雛のまつり」をやっているのだそうで、嘉穂劇場も「ネコたちのひなまつり」というテーマで、劇場中をネコ一色にしている。アーティストの猫作品を鑑賞したり、ネコの扮装で記念写真をとったりできるから、参観者は大喜び、劇場内が活気にみちている。

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ここにきてはじめて炭鉱地帯と劇場のつながりの深さを知った。よくぞ嘉穂劇場だけが残ってくれたものだが、明治から昭和中期にかけて、この遠賀川流域に50を超す劇場があったというから驚く。

いつかぜひ嘉穂劇場で芝居の本公演を観てみたいものだが、と思いながら駅に戻った。