小倉まではいったことがあるが、門司港ははじめてである。岸壁に立つと、下関の側が指呼の間に見える。トンネルを通って徒歩15分で対岸に行けるというから、海峡というよりも運河という印象だ。
レトロタウンらしく洋館風の建物が港の周囲にいくつかあり、ちっちゃな横浜といった雰囲気である。一方で、駅の構内に、大陸からの引揚者が飲んだという「帰り水」の水道栓などインパクトのある遺構も残っている。
風雨のなか門司港をでて、小倉の松本清張記念館を訪ねた。若い頃に、どちらかというと推理小説よりも「昭和史発掘」などの歴史ものの方をよく読んだ。書斎と書庫が復元されているとあって、どうしても見てみたいと思っていたのだ。(写真は北九州市役所前)
書斎は、今見ると、実に質素な空間である。ショーケースに絶筆となる「神々の乱心」の校正刷りがでていて、それがなんと6校まである。いやはや凄い仕事ぶりである。
記念館をでたら、永年の懸案がひとつ片付いた気分になった。