日別アーカイブ: 2015/05/10

秋田の新緑

垣根と庭の手入れで秋田に戻った。今年は、春の到来の早さがあちこちで話題になったが、そのお蔭で、ちょうど新緑の美しい時期とぴったり重なった。ケヤキ、モミジ、イチョウ、ウメ、ユキヤナギ・・・、それぞれ違う色味と艶と質感をもって輝いている。

庭のツツジのユキオも蕾が膨らんで、開花寸前である。わが家の場合、東庭から南庭そして西庭まで、円形の刈込のほとんどがユキオである。だから盛時には、庭のあちこちが真っ白になる。ただ、残念ながら、子ども時代を最後に花の盛りをみたことがない。その時期は、いつも東京にいるからだ。

今回ひときわ印象に残ったのは、生前、父親が植えた馬酔木の新緑である。もう30年近くまえのことだが、両親とわれわれ兄妹で、たった一度だけ、奈良方面にドライブ旅行をしたことがある。飛火野からささやきの小道を散策した折に、父親が、なぜかお暗い園路にたたずむ馬酔木を気に入ったらしい。それで、東庭の大木の下と客間のすぐ前の日当たりのいい場所、2か所に馬酔木をうえた。

手前が馬酔木 正面奥がキササゲ

手前が馬酔木 正面奥がキササゲ

年を経て、木陰の馬酔木は、奈良公園でも珍しいくらいけっこうな立木に成長している。一方、客間のまえの馬酔木は、地を這うような低木で、父が亡くなってからも、一向に大きくなる気配がない。そもそも馬酔木は日陰を好むと聞いているから、それも当然だろうと思っていたのだが、あるとき気がついたら、そのあたり一面が馬酔木という状況にまで広がっていた。今回は、その馬酔木が緑のグラデーションの先に、ほの赤い若葉をたくさんつけている。

その旅で父親が喜んだものがもうひとつある。唐招提寺の境内でキササゲを見つけたことだ。たしか金堂の横だったと思うが、大きさもちょうどわが家のものと同じくらいではなかったか。キササゲは東庭のシンボル的な木で、家族のだれもが親しみをもっているものだ。いまはすっかり古木で、幹の半分が空洞になってしまっているが、それでも毎年、大量の実をつける。

こんど唐招提寺にいったら、いつかみたキササゲを忘れずに確認しようと思っている。