日別アーカイブ: 2015/03/16

福山一明さんの最終講義

福山一明さん(明星高校:英語)は、“高「変さ値」人”がそろった獲得研でもひときわ異彩を放つ人だ。日曜日に、学苑の視聴覚ホールで福山さんの最終講義があった。10年前、旧あかり座の凱旋公演をしたその場所に、100人近い卒業生が陣取っている。

例会・福山先生の会 012

そもそも高校教師の最終講義というのも珍しいが、いってみたら、どこにも「講義」の気配がない。演壇にはギターが並び、いつもの「福山オン・ステージ」のしつらえである。実際にはじまってみると、本人の歌と参加者の即興スピーチで40年近い教師生活をふりかえる1時間半の音楽構成劇になっている。矢沢永吉からビートルズまでの7曲の中に、獲得研コンビの自作曲「今夜もシングルモルト」(作詞・福山、作曲・田ヶ谷省三)がちゃんと入っている。

進行も福山さん本人がやる。突然ステージに呼び出されるスピーカーの本音トークがまた面白い。和田俊彦さん(跡見学園)にいたっては、「授業で歌ばかり歌ってないで、ちゃんと英語も教えてくださいよ」と福山さんに注意する校長先生の演技を、即興でやらされた。田ヶ谷さん(立川市生涯学習指導協力者)も、もう一人の高「変さ値」人・藤牧朗さん(目黒学院)もステージに立った。

例会・福山先生の会 025

福山一明さんは熊本育ちである。今回分かったのは、福山少年にとって「英語と音楽」が山の向こうの新しい文化の象徴だったこと、そして、その後のロンドン暮らし、東京暮らしでも、その憧れをずっと抱き続けてきたということだ。福山さんは、いまも英語大好き人間であり音楽大好き人間である。

あかり座の『中高生のためのアメリカ理解入門』(明石書店)で、福山さんは「メジャーリーグ野球」を担当した。それで彼の英語授業のテーマソングが“Take me out to the ball game”になった。どのクラスでもギター片手に歌唱指導する。てっきり教室にギターを持ち込むきっかけがそれだと思っていたが、どうもそうではないらしい。イギリスから戻って明星に赴任した35年前から、授業でギターを弾いていたという。最初の授業に、シカのかぶりものをつけて登場したというエピソードもきいた。パフォーマーの面目躍如である。

例会・福山先生の会 023

福山さんは、自分の興味関心(あるいは欲求といってもいい)に忠実なひとである。「これだ!」と思ったらとことん突き進む。そのあけっぴろげの正直さを魅力だと感じる人たちがこうして集まってくる。

“全力少年”が少年の心を保ったまま定年を迎えた。めでたいことである。そして福山さんをのびのびと活躍させてきた明星学苑の懐の深さに感心する。いま日本の学校文化から急速に失われつつあるものが、その懐の深さだからである。