日別アーカイブ: 2014/10/20

日本教育方法学会第50回記念大会

今回は和田俊彦さんにずっとお世話になった

今回は和田俊彦さんにずっとお世話になった

例会の帰りに両角桂子さん(コア・メンバー)から「やっぱりそうか」といわれたが、余りの慌ただしさで、しばらくブログが書けなかった。先週は、広島大学で日本教育方法学会の研究大会だった。ラウンドテーブル「演劇的知の教育方法学的検討(2)」では、昨年の宮原順寛氏(北海道教育大学)に続いて、気鋭の古典文学研究者・中野貴文氏(東京女子大学)から力のこもった報告があった。

中野氏は「ドラマ的な手法を用いた古典文学」というテーマで、古典教育のフレームの改革を提案している。中高生の7割近くが古典学習への嫌悪感を抱いているといわれる現状をどう打開するのか、そのヒントがドラマ的手法の活用にあるというのだ。

それをたんなる仮説に終わらせず、自ら実践しているところが面白い。大学生たちが『伊勢物語』の「芥川」から「世界の中心で愛を叫ぶ」のパロディー版を、また『源氏物語』の「桐壷」から「スクールカースト」のドラマを演じるという事例を紹介してくれたが、テキストとの対話から出発して、現代版のドラマをつくり、もういちどテキストに戻ることで、読みの深まりや批判的な思考の獲得がみられるのだという。

広島大学研究大会 028文献研究の道を歩いてきた中野氏が「実践のことば」で報告するのはなかなか勇気のいることだろう。だが、実践的研究者・研究的実践者として自己を定義するのであれば、今回のように、自分の実践を俎上にのせることも避けて通れない。セッションのあとで「もう後戻りできないということですよね」という述懐があったが、むしろ私は、それを中野氏の決意表明ときいた。頼もしいことである。

今回の大会にあわせて日本教育方法学会編『教育方法学研究ハンドブック』(学文社)が刊行された。444頁、著者88名という大冊で、方法学研究の歩みが一望できる。会長の深澤広明氏(広島大学)が「刊行のことば」で、「第Ⅲ部「教育学研究の歴史と展望」は、研究ハンドブックとしての本書の中核的部分であり、研究の歴史、現状、展望が学会に関係する先行研究をもとにレビューされている」と書いている通りである。獲得研にとって嬉しいのは、「授業づくり研究」の章に「授業設計・展開」と並んで「学習活動・アクティビティ」の節が入ったことだ。おかげで、この20年余りのアクティビティ研究の流れをふり返る作業もできた。

一気に読み通すわけにはいかないが、ページを繰っていくと、存外執筆者の個性があちこちにでていて、こりゃあ読み物としても面白い、と感じられてきた。