青山学院の院長就任式

ひょんなことから、2週続けて渋谷に通うことになった。きっかけは、ICUの先輩・梅津順一さん(青山学院大学総合文化政策学部教授)が、7月1日付で青山学院の第14代院長に就任したことである。院長というのは、幼稚園から大学院まで、2万4千人が在籍する青山学院の“教学を総理する”ポストらしい。

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まず先週、1時間半にわたる就任式が大学のガウチャー記念礼拝堂であった。就任演説で梅津さんが強調したポイントが3つある。1つは、“チーム青山学院”を構成する幼稚園から大学までの組織が、お互いの知見に学びあうこと、2つ目は、現実対応力のある人材の育成にとどまらず、より良い社会の形成にむけて、自らビジョンを指し示すことのできる人材を育成すること、3つ目は、青山学院140年の伝統に学ぶことである。

とくに3つ目のポイントが印象的だった。青山学院のスクール・モットーは“地の塩、世の光”だが、その背景を考えるとき、19世紀アメリカで定着していったメソジスト運動の意義を再確認する必要があるというのだ。とりわけ運動の核心にある、世界を働きの場とすること、そのために世界を旅すること、土地の文化を世界に生かすことなどの思想が大切だという。グローバルな広がりのなかで果たすべき使命を自覚する視点と、自らの足元を見すえる視点を同時にもつことの大切さを指摘している、と受け取った。

一緒に聴いた高村幸治さん(元岩波書店編集部長)と「経済史家らしい視野のひろいスピーチだねえ」といって感心した。

他のクリスチャンスクールも、青山学院と同じ式次第でやるのだろうか。「就任の辞」に先立ち、梅津さんが聖書に手をおいて「誓約」をした。新鮮だったのは、すぐ続けて会衆が起立し、牧師先生からの「院長を支えていくことに同意しますか」という問いかけにこたえて、「同意します」と誓約する場面があったことだ。なるほど、と感じた。

今週は、青山学院大学の経済史の授業で「日本のバブル経済と社会倫理の変容」について話した。梅津さんの代講である。相手は総合文化政策学部の学部生50人、2年生と3、4年生がほぼ半分ずつだ。株価・地価のバブルの経緯とそれが社会倫理に及ぼす影響を中心に、オランダのチューリップ狂事件やイギリスの南海バブル事件にもふれる。

「バブル期のモラル・ハザード、その現在への影響いかん」というグループワークをしてもらったら、学年のカラーの違いがはっきりでてきて面白かった。みていると、上級生たちの方がブラック企業やらサービス残業やらの例をだして、より具体的に議論を進めている。就活中の彼らだからこそ、切実に感じるテーマなのだろう。

こんな機会でもなければ、2週にまたがって渋谷に通うことはない。青山学院の歴史にゆっくりと思いをはせ、在籍する学生さんたちの雰囲気を肌で感じる経験ができた。私にはそれがなにより良かった。

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