杏林大学でFD講演会

先日、杏林大学の八王子キャンパスで講演をした。外国語学部のFD委員長・楠家重敏先生にいただいたテーマは「良い授業をめざして」、これに当方で「獲得型授業の視点から」とサブタイトルをつけた。対象は、外国語学部、総合政策学部、保健学部の先生たち100人ほど。やってみて、むしろこちらが学ばされることが多かった。とりわけFD問題のポイントは教員間に課題の切実性が共有されていることにある、と改めて気づかされた。

JR八王子駅からキャンパスまで、バスで30分かかる。同じ八王子市にある帝京大学と中央大学で非常勤講師をしていたから、行く前からなんとなくキャンパスの様子は想像できたが、周囲の山々の緑が思いのほか濃くて、雨にけぶるキャンパスはそのぶんだけ別世界の様相を呈していた。

事前にもらったFDアンケートの冊子に先生たちの生の声があふれている。“やらされている感”が少しもないのが頼もしい。講演と会場のディスカッションが半々という時間配分にも、FD委員会の意欲が表れている。こうした条件があるとやりやすい。会場の雰囲気の柔らかさにつられて、ついつい持ち時間をオーバーしてしまった。

ただ、大人数だということと固定席の教室だということもあって、切れ目なく質問は出るのだが、どうしてもわたしと会場のやりとりが中心になる。それでも日本語学の金田一秀穂先生が「教育方法について全員で足並みを揃える必要があるのだろうか」「評価をどう考えるのか」などディベータブルな質問をして盛り上げてくれた。初対面だが、演劇的知にたけた方のようで、大いに助けられた。

2年後には、八王子キャンパスの3学部が、そろって医学部のある三鷹キャンパスの近くに移転する予定という。都心回帰の流れだろう。三鷹周辺にも伝統のある大学が多いことを考えると、移転は新しい競争環境に入っていくことをも意味する

それだけにFDはきわめてリアリティのある課題になっている、と全学のFD・SD部会の部会長である黒田有子先生も話しておられた。移転業務とFD研修を同時並行で進めるのは大変だが、課題の切迫感を共有することが、ことを進める原動力になる。

今回は、外部講師による初めての講演会ということだが、次のステップは、杏林スタンダードの形成にむけたワークショップという方向に進むのだろうか。

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