日別アーカイブ: 2014/01/10

新春合宿―テーマはプレゼン

プレゼン「獲得研ニュース」 執筆地獄を証言

プレゼン「獲得研ニュース」 執筆地獄を証言

恒例の新春合宿が4日、5日にあった。テーマはプレゼンテーション。2年がかりのテーマである。昨年の合宿からはじまって、今回の合宿、3月の春のセミナーとつながり、第3巻『教育プレゼンテーション』(2015年3月)の刊行がさしあたりのゴールになる。

獲得研シリーズでは、技法の解説と実践事例をセットで収録する。しかも、小学校から大学まで、できるだけ多様な事例を組み込む方針だ。教科や学年進行で本をつくるという教育出版の常識からいえば横紙破りである。執筆・編集にも膨大な時間がかかる。

プレゼン「ショー&テル」 腕時計

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しかし、新しい時代を形成する市民の共通教養の中核に「参加型アクティビティの習得」をすえるという考え方でやっているから、この挑戦は避けて通れない。第3巻は、ようやく50の技法が出そろって、これから本格作業にとりかかる。

合宿のワークショップで、二つのタイプのグループ発表を試した。ひとつは、「20分の準備で5分の発表」をする即興型のプレゼン。もうひとつは「2時間半の準備で5分の発表」をするextemporaneousのプレゼン。途中にリサーチワークを組み込む。どちらも、身をもってプレゼンを経験し、それを使って指導方法を考えるセッションだ。

プレゼン「お国自慢」 山口vs京都

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後者のテーマは、「旅―第5福竜丸の」である。流れはこうなる。その場で3つのグループをつくる→絵本『ここが家だ』(アーサー・ビナード著、ベン・シャーン絵 集英社)を朗読→グループでメッセージや発表形式を相談→夢の島にある「第5福竜丸記念館」で取材→情報を持ち帰って編集→プレゼンを仕上げる。

第1グループは、マグロの眼で事件をとらえた。ビキニの水爆実験の瞬間の海の中はどうだったのか、生態系はどう変わったのか、釣り上げられやがて廃棄されるマグロの眼に人々の行動はどう映ったのか。説明的なセリフを減らし、象徴的な身体表現を活用した発表である。見おわったあとで、心に残るような表現を創りたかったのだという。

第五福竜丸記念館 年間10万人が訪れるという

第五福竜丸記念館 年間10万人が訪れるという

第2グループは、第五福竜丸の乗組員とその家族の視点を軸に、出漁前の団欒場面を入れた。絵本にある「わすれるのを じっと まっているひとたちがいる」という言葉をどう読むか。それを表現するために、最初と最後の場面に「忘れましょう」「忘れないで」などの声を複雑に交錯させる「コーラル・スピーク」でこちらも象徴的に表現した。

第3グループも、この出来事を忘れていいのか、と問いかける発表になった。こちらは第五福竜丸の視点から、その生涯を時系列で描く。夢の島で武藤氏が廃棄された船に出会う→カツオ船・第7事代丸時代の活気→被ばく→半年後の焼津港の様子→練習船・はやぶさ丸時代の学生たち→最初のシーンに戻り、武藤氏が保存を決意する。第5福竜丸の声は、すべてナレーションで表現される。

三つとも、ドラマ技法を駆使した見事なプレゼンテーションだった。もっと面白かったのは振り返りの議論である。いろんな課題が見えてきたからだ。たしかに、演劇的表現のもつインパクトは抜群である。ただ、ミニ舞台作品を作ることがはたして教育プレゼンなのか、という疑問もでた。プレゼンの中で、事実性をどこまで担保するのか、という問題提起だろう。

学習活動のゴールにプレゼンがくるケースが確かにある。ただ、通常の授業プロセスでは、グループ発表を素材にして全員のディスカッション/ディベートに展開するケース、また質疑応答を受けて追加のリサーチワークに取り組むケースが少なくない。そう考えると、表現のインパクトと事実性とをどう調和させるかという問題は、教育プレゼンの指導にあたって避けて通れないポイントになるのではないか。そんな風に感じた。