冬じたく 2

冬じたくで、秋田に帰省した。いつものことだが、早朝に所沢を出発して作業小屋の鍵を開け、1日半で垣根と樹木の剪定をする。ことし一番の課題だった土蔵の屋根の葺き替え工事がうまくいったのをこの目で確認し、一安心できた。

年に2回植木に鋏を入れるようにしている。短い作業時間でもかろうじて体裁を保てているのは、庭道具のおかげである。ただ、急ぎ働きだからどうしても仕事が雑になる。

円形に仕立てたサツキやオンコだけで大小50個はあろうか。立木まで合わせたら、私が格闘してきた相手は相当な数になる。東庭、南庭、西庭という方向と、植木の低層、中層、高層という軸を組み合わせて作業の段取りを決める。迷ってはいられない。向き合った瞬間に仕上がりをイメージしたら、あとは一気呵成に刈り込む。

オンコ 仕上げにかかる直前の様子

オンコ 仕上げにかかる直前の様子

写真はオンコの大刈込である。父親の場合は、低い方から鋏をいれ、高いところにさしかかると、いったん植込みの内側に入って脚立を立て直した。枝をかき分けて体を外にだし、鋏を胸のあたりで操作して表面を仕上げるためだ。もちろん剪定鋏一本の仕事である。私の場合は、表側に脚立を立て、ヘッジトリマーから高枝切り鋏まで三つの道具を使ってサッと仕上げる。

床屋さんと同じで、剪定は際(きわ)の仕上げが大切だが、残念ながらそう構ってはいられない。昔のオンコの写真と見くらべたら、私の整枝は似て非なるものだった。しかし、こればかりは仕方がない。思うさま時間がかけられるのは、リタイアした後のことになる。

臥龍の松の新芽 まだ瑞々しい

臥龍の松の新芽 まだ瑞々しい

かろうじて庭の体裁を保っているといったが、その点も微妙だ。景色がゆっくりとしかし絶え間なく変化しているせいで、ほんの10年前とも様子が違うのだ。実生(みしょう)で芽を出した樹木が成長し、気が付くと背丈より伸びていることがざらにある。既存の樹木もそれぞれ成長のスピードが違う。少し放っておくと、たちまち高所の枝が伸びて日陰をつくり、低木に枯れ枝ができる。

(下の写真:南庭のイチョウ)

つまるところ私がしてきたのは、樹木にまんべんなく日の光をあてることで、それは樹木同士の関係に折り合いをつける作業である。“庭づくり”などという大層なものではない。10年たってやっとそのことに気づいた。競馬に馬なりという言葉があるが“樹なり”といったところだろう。

もっとも、元の姿を維持するのを諦めたら、途端に庭仕事が楽しくなった。気持ちが不思議に軽くなったのである。

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