週末、国際教育系の二つの研究会に参加した。土曜日は、「日本国際理解教育学会」研究・実践委員会/第1回公開研究会(愛知 名古屋市・椙山小学校)で「理論と実践の統合、実践を臨床的に研究する理論の構築」というテーマで報告し、日曜日は「日本国際教育学会」第24回大会・公開シンポジウム「学校における国際教育の実践と課題」(日本大学文理学部)でモデレーターの仕事をした。
国際理解教育学会(1991年創設)の方は会員の3割を現場の実践者が占めているが、国際教育学会(1990年創設)は主に大学の研究者で構成されている。それもあって、教育実践を真正面から公開シンポジウムのテーマに掲げるのは初めてだったらしい。
私は会員でないのだが、大会実行委員長をつとめた研究室の羽田積男教授(高等教育論)の発案でこの企画が実現した。
シンポジストの4名はいずれも獲得研のメンバーである。関根真理さん(啓明学園)が13年におよぶ「国際理解の日」の取り組みを、早川則男さん(中村高校)が1年間の海外留学を卒業要件にしている国際科での模索を、和田俊彦さん(跡見学園)がオーストラリアの語学研修の取り組みを、オユナさん(モンゴル国立大学)が公立小学校での留学生講師の授業を素材にして報告した。
シンポジウムを聴いた宮崎さんが四者四様と評した通り、内容が多彩なだけでなく、それぞれのライフストーリーが報告に投影しているところが興味深かった。また、会場からのたくさんの質問に実に手際よく応答する。堂々たるものだ。これなら、全国どこででも即座にシンポジウムを開けるだろう。
フロアから発表を聴いていたら、ひとつの感懐がうかんできた。こんな連想からだ。和田さんとは1980年代に国際理解教育の焦点だった帰国生教育の現場で教師・生徒として出会っている。早川さん、関根さんとは1990年代に国際教育の牽引役をつとめていた全国私学の研修会で出会った。この3人と一緒に獲得研の原点となる国際教育教材「中高生のためのアメリカ理解入門」(明石書店 2005年)の開発にあたった。そしてオユナさんとは2000年代に出会い、彼女が獲得研の教材開発・授業研究・教師研修の方式をモンゴルに導入する先進的役割を果たしている。
そんなこんなを考えているうちに、この4人のラインアップが、獲得研のこれまでの歩みとこれからの姿をそのまま凝縮するものとして見えてきた。
日本の国際教育の実践も実践研究も大きな転機に差し掛かっている。これからどんな方向に歩んでいくべきなのか、そのことを考えた2日間だった。