日別アーカイブ: 2013/08/01

実は〆切型人間でした

尾上明代さんのワークショップでみんなに驚かれたが、私は〆切型人間である。物心ついてからコツコツ型だったという記憶がない。当然のこと原稿の執筆はいつもギリギリ、筋金入りの〆切型である。

いくら楽天的な私でも、これでいいと思っているわけではない。息もたえだえで原稿を書き上げたときなど、寅さんのセリフではないが「いまはただ反省を日々と過ごしております」という気分になる。ワイフからは「締め切り間際に急病にでもなったらどうするつもり?」と脅される。私と正反対のタイプだ。

これまでにコツコツ型に転換する機会がいくらもあったが、一向に改善がみられない。原因のひとつは「締め切りが迫りテンションがあがったときの方が、アイディアが湧いて、結果的に良い原稿になる」という思い込みだ。これなどはほとんどへ理屈の類だろう。

というと、依頼原稿といういわば他力本願で研究内容が決まっているみたいに聞こえるが、そういうことではない。「そろそろこのテーマで書かなくちゃ」と思っているところに注文がくる、そんなタイミングが多いのだ。不思議な予定調和である。

改善がみられないもう一つの原因が、無意識の自己防衛だ。ICU高校時代、ことに30代後半からどんどん仕事が忙しくなった。本務だけでも十分に忙しいのに、複数の大学の非常勤講師、学会や研究会の仕事、講演など、たとえ作業計画をたてても到底できそうもない仕事量にまで膨らんだ。破綻する計画表をながめるよりテンションをあげて目の前のハードルをクリアする、そんなスタイルが定着した。その結果、忙しくなればなるほどますます〆切型の行動が助長されることになる。

このやり方が気質にもかなっている。陸上でいえば長距離走よりも短距離走タイプ、テニスのダブルスでいえば集中力を高めてチャンスに飛び出す前衛タイプである。

それでも、そろそろコツコツ型に変わる時期かなと思うときがある。集中力の低下を自覚するようになったのだ。集中力こそ〆切型の生命線である。これが低下しては同じスタイルが貫けない。野球投手が速球派から技巧派に転身するというあれだ。

私の出会ってきた教師の圧倒的多数がコツコツ型である。おそらく職業的類型といっていいだろう。それで、教師を目指す学生には折にふれて「4つのマネージメント」―目標、時間、作業量、こころのマネージメント―の方法を指南している。4つのマネージメントというのは、七転八倒の歩みから生まれた体験的仕事術のことだ。

仕事術が生まれる背景を省いて結果だけ伝授しているので、彼らが私を生来のコツコツ型人間だと誤解している可能性は大いにあるのだが。

さて、転身は可能だろうか。