TOKYO MXテレビの「トウキョウもっと2!元気計画研究所 #29」(東京都議会提供)を面白くみた。自分の出演している番組を、おもしろいというのもない話だが、こんな理由だ。
ひとつは、編集の妙である。2時間ちかくかけて撮ったスタジオ収録の発言を、どうやって明快なストーリーにするのか、高森ディレクターの腕のみせどころである。
順を追って話す、まんべんなく論点をもりこむというのが、教師の「病」である。テレビでは、これがしゃべりすぎの原因になる。心がけてはいるのだが、この癖はなかなか直らない。
当然のこと、発言を大胆に刈り込む必要がある。発言のどこをひろい、どこをすてるのか、悩ましいことだろうが、みていて「なるほどこうきたか」というシーンがいくつかあった。わけても、地域社会のしぜんな交流がうすれていく現状から、地域に広がるコミュニケーション、世代を超えたコミュニケーションの経験を、新しい教養と定義したコメントを残してくれたのは、よかった。
仕上がったものをみると、司会のいとうせいこうさんの発言などは、独自のきりこみがあって、しかも無駄がない。
もうひとつは、本放送をみてようやく番組の全体像がみえたことである。企画について相談をうけることはあるが、出演者として、ロケーションからスタジオ収録まで参加したのは、はじめてである。
NHKテレビで、ディベート番組の番組委員として視聴者の反応にふれたり、終戦記念日の特番のVTR取材をうけて画面にうつったりというように、いろいろな形でお手伝いしてきた。それにくらべると、制作プロセス全体をじかにみる経験は、モノづくりの面白さをよりつよく実感できるものだった。
何人かの方から、さっそくコメントをいただいたが、おおむね好評である。これは一視聴者としての印象だが、「元気計画研究所」は、1時間・1テーマの番組だから、じっくり落ち着いてみられる。29回も続くシリーズとあって、構成が洗練されているうえに、手作り感もタップリある。こちらは、ひごろから地域活動をしている議員さんたちが、地に足のついた発想・発言をするせいだろう、と思う。
再放送は、1月5日(土)14:00~。番組では、9分ほどに編集されている芸優座のワークショップだが、せっかくだから、完全バージョンをつくろう、という声がでているやに聞く。もし実現したら、それも大きな余禄である。